農林中央金庫は全国の農協が集めた貯金を預かり、その運用益を還元してきた。だが、近年の運用環境の悪化により、農林中金から農協への“ミルク補給”は減少し、赤字に転落する農協が続出した。特集『組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿』(全17回)の#3では、農協役職員アンケート(有効回答数434人)の結果に基づき、農林中金に対する農協からの支持率や“辛口”のコメントなどを大公開する。農協の“大幅減益”を引き起こした農林中金が、それでも農協職員からトップクラスの支持を集める理由とは。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
1.3兆円の有価証券の含み損を抱えても
農協から利益還元を求められる“悲哀”
ダイヤモンド編集部は、農協の役職員にJAグループの上部団体への評価を聞く「農協役職員アンケート」を実施した。同アンケートは、(1)全国に約500ある農協の法人登記に代表理事などとして住所の記載があった農協の組合長、会長らにアンケート用紙を郵送、(2)インターネットで広く回答を募集――という二つの手法で行い、合計434人から回答を得た。
ダイヤモンド編集部は、農協役職員アンケートに基づき、JAグループの主要12組織(JA全中、都道府県の農協中央会、JA共済連、農林中央金庫、JA信連、JA全農、JA経済連、日本農業新聞、家の光協会、JA全厚連、全国農政連、みのり監査法人)の支持率を算出した。
農協は近年、金融事業が大幅な減益となっており、2022年度は32JAが最終赤字に沈んだ。その元凶の一つとなったのが、農林中金による奨励金(農協が集める貯金に対して支払われるインセンティブ)の減額だ。
つまり、農林中金は、農協の経営が苦しくなったことの“戦犯”として農協から指弾されていてもおかしくなかった。
ところが、農協役職員アンケートの結果はその見立てとは逆だった。農林中金は、農協職員から全国4連(全中、農林中金、共済連、全農)の中でトップの支持を集めたのだ。
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