種別の整理・格下げや
減便でダイヤを再構築

 ダイヤの再構築は列車の減便と、種別の整理・格下げ、またその組み合わせに大別される。例えば山手線(外回り)は2022年のダイヤ改正で296本(上野駅基準)から277本に削減し、その後も261本、254本へと、2年で輸送力を15%近く削減した。日中の運転本数も1時間あたり14本から12本になっている。

 日本を代表する路線だけに、ここまで減便するとは驚きだが、利用減はそれ以上で、戻りも鈍いそうだ。地下鉄銀座線も似た状況と聞くので、通勤利用以上に業務利用が減少した影響かもしれない。コロナ禍はそれほどまでに人々の行動様式を変えてしまったのだ。

 種別の整理を進めたのは小田急だ。2022年のダイヤ改正で、日中の千代田線直通列車の種別を準急から急行に格上げし、快速急行・急行・各駅停車を各6本に整理した。またラッシュ時間帯に小田原線、江ノ島線、多摩線に各2本運行されていた快速急行を、小田原線、江ノ島線各3本に再編し、多摩線直通列車は急行に格下げした。全般的に種別と行き先が整理され、分かりやすくなった印象だ。

 種別の整理・格下げと減便を組み合わせたのが東武だ。東武伊勢崎線は朝ラッシュピーク前後や深夜時間帯の急行・区間急行を、北越谷以北は各駅停車の準急・区間準急に格下げし、あわせて各駅停車の運行区間を北越谷以南に縮小した。

 また、東上線も2023年3月のダイヤ改正で快速を廃止。快速急行と急行が川越以北各駅停車として、普通と準急の運行区間を縮小している。列車本数で見れば大きく変わらないが、末端区間では減便となる格好だ。この他、京王は午後8時以降に新線新宿駅を発車する急行を、相模原線内は各駅に停車する区間急行に格下げし、調布~橋本間の各駅停車を廃止した。

 コロナが収束に向かい、利用が戻ってきたことに対して、事業者が何も手を打っていないわけではない。例えば、伊勢崎線春日部駅の上り午前7時台は、コロナ前の区間急行9本、急行7本、準急3本、普通6本の計25本から、2022年のダイヤ改正で区間急行7本、急行3本、準急3本、普通3本の計16本に削減されたが、現在では区間急行7本、急行8本、準急3本、普通4本の計22本まで戻っている。

 よく言えば柔軟な対応だが、数年のうちにここまで目まぐるしく変わっては、利用者は困惑していることだろう。利用者の激減と巨額の赤字という前例のない危機に対応せざるを得なかった事業者を責めることはできないとしても、どのようなダイヤ改正であればユーザーフレンドリーだったのだろうか。