ダイヤの大枠を維持しながら
細かい改善を毎年行う西武鉄道

 そのヒントになるかもしれないのが西武鉄道だ。他社同様に通勤時間帯と日中で減便してはいるものの、大幅な減便や種別の変更は避け、使い勝手の基本となるダイヤの大枠を維持したままで、さらに毎年、細かい改善を加えている点が興味深い。

 例えば新宿線は2022年3月のダイヤ改正で、正午~午後2時台に10分間隔だった急行、各駅停車を各1本減便したが、前後の間隔を調整するだけでなく、丁寧に12分間隔に修正して利便性を確保した。

 そして、今年のダイヤ改正では、利用回復を反映して2022年3月以前の運転本数に戻ることになったが、限定的とはいえ、コロナ禍による減便ダイヤの復元は他に例がないのではないだろうか。

 その理由について西武は「定期利用の回復は限定的であるものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行にともない、定期外利用はレジャー観光などでの利用が進み、コロナ禍前までの利用に戻ってはいないが、回復傾向が確認された」ことを踏まえたと説明する。

 池袋線でも2022年3月のダイヤ改正で、日中の有楽町線直通列車を毎時6本から4本に変更したが、元々10分間隔だったわけではなく、池袋線内各駅停車4本に準急2本が続行する不均等なダイヤだった。

 池袋線は1998年に有楽町線、2008年の副都心線と直通運転を開始して以降、地下鉄直通列車の運行本数、種別、有楽町線と副都心線の直通割合を変えてきたが、コロナ禍というタイミングで、ともに毎時4本、概ね15分間隔の分かりやすいダイヤに再編した。特殊な事例ではあるが、減便を意味のあるものにしたわけだ。