電動トラックと言えば、テスラの「サイバートラック」が知られていますが、世の中で開発が進んでいるモデルはそれだけではありません。ピックアップトラックの「聖地」と言えるタイでは、中国やベトナム、そして日本のメーカーが入り乱れての「電動化競争」が起きつつあります。BYDなどの著名メーカーが参戦する中で、日本のいすゞ自動車が世界に打ち出そうとしている新モデルとは――。バンコク国際モーターショーでの取材をもとにリポートします。(モータージャーナリスト 諸星陽一)
※外部配信先では写真をすべて閲覧できないことがあります。その場合はダイヤモンド・オンライン内でお読みください。また、本企画は前後編となっています。タイのEV事情を解説した前編『「日本車王国」崩壊のタイで中国EVが急拡大!「急速充電可で230万円」激安モデルに「超高性能」スポーツカーも』はこちらからご覧ください。
中国メーカー参入で
タイで「EVトラック」開発競争が激化!?
「バンコク国際モーターショー(BIMS)」の取材にもとづいて、タイの自動車事情についてお届けする本企画。前後編の「後編」となる本稿では、タイの国内市場で注目を集めている「電動トラック」について解説していきます。
皆さんは、タイのクルマ事情についてどんな印象をお持ちでしょうか。日本車の需要が高く、古めのトヨタ車やホンダ車が都市部・農村部を走り回っている――。そんなイメージを抱いている人が多いかもしれません。
ですが、最近のタイでは必ずしも「日本車が圧倒的優位」というわけではありません。実は今、日本車の需要が失速しつつある一方で、中国ブランドの電気自動車(EV)などが勢力を拡大しているのです(詳細については「前編」をご覧ください)。
この潮流は、セダンやクーペなどの乗用車だけでなく、古くからタイで支持を得てきた「ピックアップトラック」にも波及しています。「EVトラック」の実用化や大量生産はまだ先ですが、今後のタイでは、日本メーカーと中国メーカーの間で「トラックの電動化」を巡る競争が激化しそうな状況です。
実際に、今年3月25日~4月7日の14日間にわたって開催されたBIMS(※)では、中国メーカーがピックアップトラックのPHEV(プラグインハイブリッド車)などを出展し、来場者の関心を集めていました。
※3月25日はVIP & プレスデー、26日はプレスデーのため一般公開はなし。
もちろん、いすゞ自動車をはじめとする日本メーカーも手をこまねいているわけではなく、EVトラックのコンセプトモデルなどをBIMに出展していました。それに加えて、ベトナムのEV専業メーカーもコンセプトモデルを披露しており、実用化すれば競争はさらに過熱しそうです。
電動ピックアップトラックと言えば、テスラの「サイバートラック」が知られていますが、世の中で開発が進んでいるモデルはそれだけではありません。アジアの先進的なクルマが集まるBIMには一体、どんな「新型トラック」が展示されていたのでしょうか――。
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