新たな台湾と台湾社会でも親日家と認識されている頼清徳新総統

 5月8日、総統就任式を前に、頼氏は台南市の烏山頭ダムで行われた「八田與一技師没後82年追悼記念会に出席した。八田氏の台湾に対する貢献への感謝に加えて、故安倍晋三元総理の言葉を引用し、「『台湾有事は、日本有事』であるため、台湾と日本は共に協力し、インド太平洋地域の平和と安定を維持する」と語った。

 八田與一氏は、約100年前の日本の台湾統治時代に、台湾にとって国の要ともいえるダムの建設に尽力した人物だ。「そのダムは、現在でも生活、農業、工業用水を安定的に供給しているばかりでなく、台湾の南部サイエンスパークにも提供し、台湾の農業や経済発展に多大な貢献をしている」と発言した。さらに、頼氏は、インド太平洋地域の平和と安定は、長年の台日間の協力の積み重ねの成果であり、総統に就任した後も台日間の多方面での連携を強化する、と日本への期待を述べた。

 この記念会に訪れたことに対して、特に国民党的な立場の人物は「頼氏が親日家だ」と揶揄(やゆ)するように表現している。日本のメディアも、頼氏が親日家だと報じているようだ。ただ、筆者が知る限り、頼氏の医師時代の直属の部下であった古くからの知人などから聞くところによると、特に頼氏が親日家だという言葉は耳にしたことはない。