職場の人は、望むと望まざるとに関わらず、かなり長い時間を共にしなければならない存在だ。気が合う人ばかりなら良いが、そうはうまくいかないほうがほとんどだろう。いまいち気は合わないけれど、仲良くしないと……と無理している相手は、誰にでも一人や二人はいるのではないだろうか。しかし、SNSで大人気のカウンセラー・Pocheさんの新刊『がんばるのをやめたらうまくいった』は、「そういう人たちとは仲良くしなくていい」と背中を押すメッセージをくれる。人間関係や親子問題、アダルトチルドレン(AC)専門のカウンセラーとして活躍するPocheさん。本記事では、なかなか離れられない職場の人だからこその付き合い方について、本書の内容をもとにご紹介する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

がんばるのをやめたらうまくいったPhoto: Adobe Stock

職場の人とは仲良くしなければならないか?

 職場の人は、年齢も性別も、生まれ育ったバックボーンも違う人たちが集まっていることが多い。

 もちろん、職種によっては好きなものが似ている人が集まっていたり、仲のいいメンバーで起業したような会社もあったりすると思うが、大半の会社がさほど共通点もない人たちと働くという状況のはずだ。

 職場の人というのは、家族よりも長い時間を一緒に過ごすことになりかねない。そのため、「できるだけ仲良く、愛想良くしていなければならない」と考える人もいるだろう。

 一方で、「仲良くすべきだよね」とは思うものの、話も考え方も合わなくてつらい……なんて状況になってしまっている人もいるに違いない。

 しかし、Pocheさんは「『仲良くすべきだろうか』と頭をよぎる時点で、あなたの心は『この人と仲良くなりたくない』『仲良くならない方がいい』と感じている可能性が高い」と指摘する。

「仲良くなるべきか」と悩む人は仲良くなりたくない相手

 それは一体なぜか。Pocheさんはその理由を次のように語る。

あなたが本当に仲良くなりたいと思える人なら、「仲良くするべきか」と悩むことはありません。それよりも「仲良くなりたいなぁ」とか「どうすれば仲良くなれるかなぁ」と考えるはずです。(P.116)

 おっしゃる通りである。何かしら引っ掛かることがあるから、「いまいちこの人とは気が合わないなあ」と思いつつも、「仲良くすべきだろうか」と悩む羽目になるわけだ。

 とはいえ、「じゃあ、関わらないでおきますね」と言えないのが職場のつらいところだ。それで苦手な人と離れられるなら誰も悩んでいないだろう。

 では、どうすればいいか。

 Pocheさんは「あいさつと返事をしておけば十分」とアドバイスする。

 さらに「無理して仲良くならないほうが、平和です」とも言う。

 その理由は、会いたくなくても会わなければならない、嫌いだとしても無視するわけにもいかない、「職場の人間関係」ならではの問題があるからだ。

敬意は表しつつも、距離を取るのが鉄則

 そんな複雑な職場の人間関係だからこそ、Pocheさんは「無理に仲良くならないでおきましょう」と語る。

 その理由は次の通りだ。

仲良くなってしまったら、それこそ離れられなくなってあとが大変だからです。
簡単に離れられない人だからこそ、自分のために仲良くならない方がいいと思ってみてください。(P.117)

 仲良くなる必要がないからこそ、きちんとあいさつをして、必要な受け答えだけすれば良いというわけだ。

 確かに職場は学校や仲良しサークルではない。業務に差し障らない程度のコミュニケーションが取れていれば、誰に責められる謂れもない。

 苦手な人が職場にいると言うのは、本当に気力と体力を消耗するものだ。筆者にも経験があるので良くわかる。

 もちろん、明日から急にPocheさんの言う通りにするのは難しいかもしれない。

 ただ、それでも「仲良くしなければならないわけではない」と分かっておくだけでも、気持ちはかなり楽になるのではないだろうか。

 Pocheさんは「これ以上、苦手な人のために頑張らないでおきましょう」と優しく労ってくれる。

 そう。いいのだ、無理をして頑張らなくたって。