「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は、自力整体の考案者であり、50年近く鍼灸師・整体治療家・ヨガ講師としても活動されてきた矢上裕さん(矢上真理恵さんのお父様)もお迎えし、東洋医学の視点から、初夏に出やすい不調の解決法を数回にわたりお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】いつもコリや痛みをぶり返す人に足りない「5つの習慣」

痛みをぶり返す時、どうしたらよい?

――鍼灸院やマッサージ店の施術でスッキリしても、しばらくたつと、また症状をぶり返す人は多いです。梅雨は慢性痛なども出やすいので、アドバイスをお願いします。

矢上裕:私が鍼灸院を開業した当時も、しばらくすると痛みをぶり返し来院されるリピーターの患者さんがいました。その方たちを見ていくと、5つの特徴がありました。

1 姿勢が悪い
2 座りっぱなしで体を動かさない
3 治療家に頼りっぱなし
4 胃が疲れている(食べすぎ、飲みすぎ)
5 呼吸が浅い

このことから、私は治療よりも患者さんご自身の生活習慣の改善が大事だと気づきました。それがきっかけとなり、自分でおこなう健康法を研究・開発。「自力整体」が生まれたのです。

コリや痛みをぶり返さない「5つの習慣」

――今すぐコリや痛みを解決する自力整体を教えてください。

矢上裕:自力整体では生活全般を指導していますので、先程の5つの特徴とは逆の「5つの習慣」を今すぐ取り入れてみてください(※症状により、かかりつけ医にご相談ください)。

1 姿勢を正す
2 立ち上がり、よく体を動かす
3 夜、自力整体で体をゆるめる
4 胃腸を休める
5 深い腹式呼吸をする

1 姿勢を正す
たとえば足を組んで座らない、スマホやパソコンの見すぎでストレートネック状態になった首をC字ラインに戻す工夫をするなど。

2 立ち上がり、よく体を動かす
血流やリンパの流れを促し、冷え・むくみを解消。

3 夜、自力整体で体をゆるめる
関節や筋肉をゆるめて血流を改善。また、自身の左右差や関節の引っかかりなどに気づきやすいので、治療の専門家へ症状を伝える際に役立つ。

4 胃腸を休める
東洋医学では胃腸の疲労も痛みにつながるとされ、とくに腰やひざに症状が出やすい。自力整体が推奨するのは「夕食は就寝3時間前に終わらせ、朝食は固形物を控えお粥やスープなどにする」食事法。

5 深い腹式呼吸をする
リラックスの神経「副交感神経」を優位にして痛みを鎮める。おすすめは「30秒呼吸法」。10秒間隔で、息を吸って、止めて、吐く。秒数は短くてもOK。ご自身のペースで。

――最後に、ウェブ読者のみなさんへ、矢上真理恵さんの書籍『すぐできる自力整体』から、よくある痛みに効くワークをご紹介ください。

矢上真理恵:「ひざ痛解消 足首のねじれ直し」のワークを紹介しましょう。ひざの痛みの原因の1つ足首のねじれを正して痛みを和らげる方法です。

【整体プロが指南】いつもコリや痛みをぶり返す人に足りない「5つの習慣」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗