メンズ日傘を敬遠する人たち
本音の裏にあるもう一つの本音

 現在メンズ日傘への認知や許容が少しずつ進んでいる背景には、「毎年猛暑日を更新していく酷暑」や「ジェンダーに基づいて慣習となってきた決めつけ(『○○は男っぽい・女っぽい』など)を薄めていこうという考え方」などがあり、後者と関連して「美容ケアに関心を持つ男性の増加」などがある。

 近年の日本の美容トレンドに多大な影響をもたらしているのはお隣の韓国で、昭和生まれの現在40代の筆者は「雄々しさこそ漢の生き様・格好良さよ……」という価値観の中で育ったから、K-POPをはじめとする最近の男性アイドルのツルッとした感じを見ているとむずむずしてくるのだが、K-POPといえば今や世界的に人気を誇るポップカルチャーであり、妻はどこかから仕入れてきたK-POPを盛んに聞いているし、ついには娘(6歳)まで韓国発で本国では大ヒットしている『キャッチ!ティニピン』という、プリキュアシリーズと『カードキャプターさくら』を混ぜたようなアニメにどっぷりハマっているような状況。

 家でも外でも韓流推しというなら、もはや昭和の残骸のごとき筆者は黙ってそれを受け入れるしかなく、差し当たっては毎日娘とティニピンごっこに興じている按配である。

 その韓国では、さすが日本に先駆けてというべきか、男性の日傘需要が一足先に高まっていたようで、2019年の以下のような記事を見つけることができた。それによると、あるデパートでは男性用日傘の売り上げが前年同期の20%増だったそうである。

【参考】
「韓国にも日傘男子?」(聯合ニュース)
https://jp.yna.co.kr/view/PYH20190618130400882

 冒頭に書いたことの繰り返しになるが、日傘はどうしても今まで女性用アイテムとして認識されてきたので、従来の価値観の影響を強く受けているであろう年長者ほど抵抗は強くなるはずである。実は筆者も“メンズ日傘”という響きに抵抗を感じている1人であった。