今回の社内調査で発覚した現時点での「不適切な事案」は、各社報告によると5社で38車種に上る。その内容を見ると、過去に生産し販売終了した車種と、現行で生産・販売している車種に分かれる。具体的には、ホンダとスズキはすでに終了した車種のみで、現行車種での発覚はなし。トヨタは、「カローラフィールダー」、「カローラアクシオ」「ヤリスクロス」、マツダは「ロードスターRF」、「マツダ2」、ヤマハ発動機は二輪車の「YZF-R1」の現行車種について認証不正が判明し、これらが出荷停止となった。国交省は、道路運送車両法に基づき4日にトヨタへ立ち入り検査を実施したのに続き、対象各社の立ち入り検査にも入った。

「『ブルータス、お前もか』という感じだ」。トヨタの豊田会長は、謝罪会見でふと胸中の本音を吐露した。「ただ、トヨタも完璧な会社ではない」と釈明したものの、これは本来、消費者側が「トヨタ、お前もか」と感じることであり、トヨタグループの総帥がそんな“客観的”な発言でいいのか、と思えてしまう。

 ダイハツ・豊田自動織機・日野自動車のグループ3社の不正を受けて、1月末にトヨタグループの総帥として豊田会長が会見を行った際には「トヨタにはこうした不正はない」と言い切っただけに、忸怩(じくじ)たる思いもあるだろう。

 だが、この認証不正がトヨタ本体にまで広がったことが、日本車全体の信頼に傷をつけるものになりかねないことは事実だ。自動車は日本経済を支える基幹産業であり、サプライヤーなどの裾野も広いことから、経済への悪影響を懸念する声も上がっている。

 実際、トヨタの生産・出荷停止となった車種は、トヨタが東日本大震災を経て重視しているトヨタ自動車東日本の岩手工場(岩手県)と宮城大衡工場(宮城県)で生産されており、地元ではサプライヤーも含む東北経済への影響が大きく報道されている。マツダも本社工場(広島県)と防府工場(山口県)での対象車種生産停止により、中国地区の下請けの不安なども含めた影響が報道されているようだ。