今、中高年の間で人気急上昇中の技術系資格がある。「電気主任技術者」と「電気工事士」だ。太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの電気設備が急増し、この資格を持つ人材の争奪戦が起きているからだ。一定の実務経験を積めば、定年後に独立開業も可能だ。特集『40歳・50歳・60歳から一発逆転! 稼げる資格』(全17回)の#7では、二つの資格の具体的な中身を解説する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
電気設備の高度化・複雑化
人材不足で国が制度改正
近年、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源の導入、省エネルギー設備の普及、情報通信技術の発展などにより、電気設備はますます高度化、複雑化している。それに伴い、電気設備の安全管理に対する責任も重くなっている。
電気事業法や労働安全衛生法などの法規制も強化されており、電気事業者や施設管理者は電気主任技術者を選任し、電気設備の適切な維持管理を行うことが義務付けられている。
また、電気設備の施工や改修、修理などを行う電気工事士は電気設備の安全な構築のために不可欠だ。
一方で、深刻化しているのが資格保有者の高齢化だ。電気主任技術者や電気工事士の担い手不足が懸念されている。特に、電気主任技術者は高度な専門知識と経験が必要とされるため、難関資格で取得のハードルが高く人材不足が顕著になっていた。
企業には、こうした担い手不足に対応するため、積極的に電気主任技術者や電気工事士を採用・育成し、電気設備の安全管理体制を強化していくことが求められている。国も受験資格を緩和するなど、人手不足解消のために制度を改正した。
その中でも、ある資格の人気が高まっている。需要が非常に高く、定年後にも活躍できるからだ。その人材を獲得するために高給を出す企業も増えている。また、ある程度の実務経験を積むと独立もできる。そうした理由から受験者数が増えており、試験制度の緩和により合格率も上がっている。
次ページでは、その資格の具体的な試験制度の変更点、仕事内容や受験方法について解説する。