2023年度から受験資格要件が緩和された税理士試験。それにより大学生でも挑戦しやすくなった。さらに、5科目の試験のうち一部を免除される条件となるのが、試験科目免除大学院での修士論文執筆だ。加えて、大学院進学は免除以外にもお得な効果が複数ある。特集『40歳・50歳・60歳から一発逆転! 稼げる資格』(全17回)の#12では、最新版の試験科目免除大学院のリストをお届けする。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
「税法」免除大学院への進学で
得られる複数のメリット
中小企業大国、日本。日本の全企業数に占める中小企業の割合は実に99.7%と、まさに日本経済の基盤は中小企業が支えているといっても過言ではない。だが、その数は年々減少傾向にある。
理由はさまざまだが、経営者が高齢化する一方で後継者がおらず休廃業するケースが少なくない。また昨今では、人手不足や賃上げ、物価上昇などにより倒産や廃業に至るケースも増えている。
ここでの問題の一つは、その企業が持つ技能や技術の伝承が途切れてしまうことだ。そこで、技術に強みを持つ中小企業のM&Aなどが活発化している。また、生き残りを懸けた中小企業同士の事業統合なども積極的に進められている。
こうした傾向は税理士が活躍する場が増えることにつながり、「M&Aや事業統合を事業の柱の一つにしようとする税理士法人が増えている」と、河合塾KALSの税理士「税法」科目免除大学院入試対策講座の黒須孝郎講師は言う。
また、2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートしたことで税理士の仕事が増えたことに加え、23年度の税理士試験から受験資格が大幅に緩和されたことで受験しやすくなり、税理士を目指す人が増えている。
もっとも、税理士試験は5科目に合格しなければならず、それぞれ法律の条文を暗記する必要があるなど、ハードルはかなり高い。そこで活用したいのが、税法科目が免除される大学院だ。しかも、大学院に通うメリットは税理士試験の突破に有利なだけではない。
次ページでは、大学院に通う複数のメリットと共に、税法免除大学院の難易度ランキングや最新のトレンドをお届けする。