樺島弘明/エル・ティー・エス代表取締役社長インタビューPhoto by Akira Yamamoto

企業向けのコンサルティングを主力とするエル・ティー・エス(LTS)は、2017年に上場して以来、売上高が年平均約3割増の高成長を続けてきた独立系の国内ファームだ。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、同社の樺島弘明代表取締役社長を直撃。人材採用を巡る方針や同社独自の強み、巨大化を続ける同業のアクセンチュアとの違いから、弱含む株価への言及、今後のM&A(合併・買収)戦略に至るまで考えを明かしてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

今後は増収率から収益性へ
競合との差別化要素とは?

――2030年に売上高500億円(23年12月期は122億円)という長期目標の下、年率15~20%の成長を目指すとの方針を掲げています。今後の成長戦略は。

 売上高の成長率は、17年に上場して以来、年約30%増を続けてきました。当時は売上高が20億円超の規模で上場し、M&A(合併・買収)やエンジニア体制の拡充などで増収率が大きくなりやすい面がありました。

 今後は増収率よりも収益性を見て、営業利益率を本来の形である上場前のような10%ボトムの水準に戻し、営業利益の成長率を着実に伸ばしていきます。

 オーガニック(自然な状態)だと、増収率は10~20%程度が無理のない形です。ただM&Aがあった年や、エンジニアが増えたことで立ち上げから実行、完了までワンストップで行う大きめの案件が重なれば、増収率が20%を超える年もあると思いますが、収益性の方にかじを切っているのが現状です。

 業績も大事ですが、本来のDX(デジタルトランスフォーメーション)のX(変革)サイドに着目したプロジェクトの企画と推進や、そこでの反省や学びをまた次に生かしながら、ユーザー企業にどうやって具体的に支援し、顧客価値を高めていけるかこそが重要だと考えています。

――併せて、「デジタル時代のベストパートナー」になるとの方針を掲げています。国内の上場コンサルでは、ベイカレント・コンサルティングをはじめ、各社とも急成長ぶりが目立ちますが、今後の重点分野や、競合との差別化要素をどのように考えていますか。

次ページでは、17年に上場してから高成長を続けてきた国内コンサル、LTSの樺島社長が同社が持つ独自の強みを明らかにする。また、営業人材の活用や中途採用など人員体制、コンサルタントの年収水準、巨大化を続ける同業のアクセンチュアとの違いから、弱含む株価への言及、今後のM&A(合併・買収)戦略に至るまでを語り尽くしてもらった。