仕事で疑問を持たない人は、
カネも時間も搾取され続ける

 仕事でも、社会生活でも、なんの疑問をもたずに生きるのは楽。でも、会社やまわりの言いなりになってばかりでは、無駄なことや、おかしなことをやっていて、時間やお金や労働を“搾取”されていることがあるのです。

 大人というのは、1人の人間として、つねに疑問を持ち続ける必要があるのです。本当の意味で自分の身や、まわりの人を守るためにも、いい仕事をするためにも。

 大企業で働く30歳の男性がこう言っていたことがありました。

「新入社員のときは、多くの人が仕事のいろいろな矛盾に気づいて『それはおかしい!』って怒っている。でも、30歳以上になると、死んだ目をして『仕事ってそんなもんだ』『大人になろうよ』って言う。そんなヤツしか組織には残れない」

 私も痛いほどわかります。最初は正義感をもって抵抗していても、だんだん「言っても無駄」と飼い慣らされてしまう。分相応に大人しくしていると、自分の頭で考えられない都合のいい“コマ”になって、こき使われてしまう。そればかりか、今の環境でしか生きられないことになってしまいます。

 組織の正義、自分の正義をわかって折り合いをつけていくのが大人というものです。そのためには、小さなことでも疑う必要があるわけです。たとえば書類1つでも「この書類はどんな意味があるの?」「だれのためのもの?」「紙で配る必要ある?」「そもそも要る?」と疑問が浮かんでくるでしょう。

 それをいきなり「へんですよね?」「なんでわからないの?」と否定するのも幼稚な人のすること。タイミングやだれにどう言うのかを考えて、効果的なアプローチをするまでが大人です。「ここは黙って従おう」「ここは肯定的に伝えよう」など分別して、ケガをしないように。

 自分の頭で考える大人は自然に力がついて、どこでも通用する人材になるのです。

仕事の小さな違和感に「どうして?」「ほかに方法はない?」と考える癖をつけて