一方、年上メンバーに対しても遠慮することなく、他のメンバーと同じように接することができるリーダーもいます。しかし、彼らのほとんどは経験を重ね、マネジメントスキルも高いリーダーです。リーダーとして、自他ともに認めるほど十分な実績を積んでいるからこそのコミュニケーションスタイルともいえるでしょう。

 私自身も、年の差を気にすることなくコミュニケーションが取れるようになったのは、30代半ばくらいからでした。

 ただし、その場合も、横柄であったり、生意気であったりしてはいけません。年長者への礼節はわきまえた上で、リーダーとしての役割を全うする、ということが大切です。そこを見誤るとメンバーからの反発を生み、チームがうまくいかなくなります。

図表1:年上メンバーとのコミュニケーションは「リスペクト」を持って同書より転載
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忙しくてもメンバーの事情を
考慮できるゆとりを持とう

「家族あっての仕事です。家庭を優先してください」

 私が社会人6年目のときに、先輩リーダーにかけられた言葉です。今でも私のリーダーとしての軸を形成している言葉で、どんなときも、この精神を大切にしたいと思っています。

 どういう状況でいわれた言葉だったかを振り返ると、当時、プロジェクトが大きな節目を迎えるタイミングに、個人的な事情が重なり、どうしても数日、仕事を休まなければいけなくなりました。

 そこで、前述の先輩リーダーに事前に相談をし、休暇をもらうことにしたのです。

 ところが、事情を知らない別のチームのリーダーが、「なんでこんなときに休んでんだよ! みんな頑張ってんだよ」と、休み明けの私に文句を言ってきたのです。