歴史に名を残すような偉大な経営者や著名人でなくてもいい。月に数百万円を稼ぎ、億単位の資産を持つ、いわゆる「成功者」にはなってみたい……。そのように考えたことがある人も多いのではないだろうか。会社員から事業を立ち上げ、YouTuberとしても活躍しているチュ・オンギュ氏は、そんな成功者たちのことを「並外れた天才でもない。僕たちと同じ平凡の範疇にいるように見えて、実は一歩先を行く人々」と評する。そして、やり方次第で平凡な人でも彼らの仲間入りをすることができると語る。その方法とはどのようなものだろうか。チュ・オンギュ氏の著書『SUPER NORMAL 凡人が上位1%の「成功者」になる抜け道』をもとに解説する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

SUPER NORMALPhoto: Adobe Stock

平凡な人でもお金持ちになれるか?

「お金持ちになりたい」。

 一度もそう思ったことがないという人は少ないのではないだろうか。

 大富豪とまで思わないにしても、お金で苦労する心配がない毎日や、したいと思ったことをためらわずにできる生活ができればいいのに……と考えたことは、きっとあるだろう。

 しかし、普通に会社員をしていたら、しがない月給生活。大手企業勤めで高給取りならまだしも、一般的なサラリーマンを続けていたら、親が資産家でもない限り、そうした生活を実現するのは容易ではない。

 経営者でYouTuberでもあるチュ・オンギュ氏も最初は、月収約16万円のサラリーマンだったそうだ。

 大幅な年俸アップや成果給も見込めず、まともな住環境を整えることもできなかった。新婚生活も、古いアパートの半地下でスタートするしかなかったという。

 そんな彼は、お金持ちになることを目指して様々な挑戦をし、多くの人と出会う中である法則を見つける。

 それが、「スーパーノーマルの法則」だ。

目指すは「平凡な人の中で優れた状態」

 チュ・オンギュ氏が語る「スーパーノーマル」とは、「平凡な人の中で、優れた状態になること」だ。

これは絶対に不可能なことではなく、すば抜けた才能が求められるわけでもない。(P.59)

 本書では「僕が知るかぎりでは、数千億ウォンの資産家を夢見る人は多くない。50~100億ウォン(約5~10億円)程度の資産を築くことができれば十分だと考えている人がほとんどだろう」と言及した上で、「スーパーノーマルの法則」を次のように定義している。

「スーパーノーマルの法則」は、毎月数十億ウォン(約数億円)の売上を出そうとする企業家向けのノウハウではなく、1ヵ月に1000万ウォン(約100万円)以上の収入を目標とするフリーランサーや自営業者、あるいは会社員のための成功ガイドだ。(中略)
夢と言うにはやや控えめで、目標にしてはややハードルが高い。僕はこのレベルを「スーパーノーマルの法則」が目指すところとする。(P.61)

 ずば抜けた才能はなくとも、一般的な会社員よりは稼げる生活を送れるようになる。これこそ、平凡な人こそが目指す「成功者」の姿と言えるのかもしれない。

 では、一体どうすれば「スーパーノーマル」になれるのか。

地道なトレーニングの継続で得られる結果がある

「いくらずば抜けた才能がいらないと言っても、それくらい稼げる人たちはやっぱり特別だよ」と言いたくなるかもしれない。

 しかし、チュ・オンギュ氏は「『特別』とは、『ごく平凡なことが集まった結果として到達する地点』」であると説明する。

 それは次のようなことだ。

健康的で美しく引き締まった身体は、多くの人が手に入れたいと願う「特別」なものです。でも、じっとしているだけでは、特別なスタイルを手に入れることはできません。
たとえ生まれつきスタイルがよかったとしても、美しい体型を維持するには食事管理や運動を続けていく必要があります。
つまり、カッコいい特別なスタイルは、「地道で平凡なトレーニング」を毎日積み重ねた結果なのです。(P.66-67)

 世の中には、どんなに不運続きの最悪の状況でも、しっかり結果を出す人がいる。

 チュ・オンギュ氏は、その人たちのことを「突然変異」と呼ぶ。

 この「突然変異」の発見が、チュ・オンギュ氏にお金持ちになるためのトビラを開けてくれた最初のヒントだと語る。

チャレンジする前に言い訳をしていないか

「突然変異」を見つけるまで、チュ・オンギュ氏は何かにチャレンジする前から、うまくいかない理由を考えていたそうだ。つまり言い訳だ。

「ビジネスで成功した人は、もともと実家がお金持ちだったんだよ」
(僕は裕福な家に生まれてないからなぁ)

「あの人は学歴が高いからうまくいったんだな」
(僕はそこまで学歴が高くないし)(P.75)

 このような言い訳をしたくなる気持ちは、筆者もよくわかる。

 だって、うまくいった人を羨ましいと思いながらも、「挑戦さえしなければ失敗もしない」と無意識のうちにわかっているからだ。

 しかし、チュ・オンギュ氏はある経験からその考えを大きく変えることになる。

言い訳の中に成功のヒントがある

 チュ・オンギュ氏は生きていくので精いっぱいの暮らしからなんとか抜け出ようと、レンタルスタジオの事業を始める。

 そのスタジオのスタッフから、ある日「うちのスタジオは狭いから、規模の大きい雑誌の撮影はできませんよね」と言われたのだという。

 その場では「うん、そうだね」と答えたチュ・オンギュ氏だったが、帰宅してから一晩中「狭いスタジオで撮影された雑誌の写真」を探しまくった。

 そして、求めていたような写真を見つけ出し、スタジオの広報ページに撮影イメージの1例としてアップした。

 すると、ある有名な雑誌の撮影に、彼のスタジオが使われることになったのだ!

 彼はこのことから「習慣的に浮かんでくる言い訳の中にこそ、成功のヒントが隠れていることを知った」と語る。

 そして、このスタジオのように、恵まれない環境にありながらも、優れた成果を生み出した人を探すようになったという。

平凡な家に生まれてお金持ちになった人、学歴が低くても成功している人、専門家ではないのに成果を出した人を探し回った。
こうした成功ケースがまさに、あなたがこれから探さなければならない「突然変異」だ。つまり、突然変異とは「自分と同じような状況にある人が、圧倒的な成功を収めたケース」だ。突然変異を見つけ出せば、こんな自信が湧き起こってくる。
「彼が成功したって? だったら、僕もいずれは成功できるということじゃないか?」(P.77-78)

「突然変異」が成功した方法を分析せよ

「突然変異」を見つけたら、次にすることはその人が、他の人とどこがちがったのか、「まちがいさがし」のように比較することだという。

 例えば、次のような方法だ。

スマートストア(オンラインストア)
(言い訳)「僕にはアイデアがないから、売れ筋の商品なんてつくり出せないよ」
→ものすごいアイデア商品というわけじゃないのに、ヒットしている商品があるな。どんな特徴があるのか調べてみよう!(
中略)

このように突然変異を生み出す要素を発見できれば、あとは簡単だ。突然変異を繰り返し生み出せるようなシステムをつくればいい。(P.81-82)

 資金がないこと、若くないこと、経験がないこと、アイデアがないこと……。

 人は様々なことを理由に夢をあきらめがちだから、それを乗り越えた人の方法を参考にすれば良いということだ。

 自分がつい言い訳してしまうことを乗り越えた成功者たち。その人たちがうまく行った方法を参考に、物事に取り組む。

 これこそが、チュ・オンギュ氏が見つけ出した法則だ。

 まずは私たちも、「突然変異」を探すことから始めてみよう。その人を分析すれば、成功の糸口が見えてくるはずだ。