「しかし、欧米諸国から見ればそんなものなのだろう」「それも愛の形のひとつだろう」と妙に大人になって許容していたが、『SHOGUN 将軍』の正確な日本描写は今後の規範となっていくことが期待される。

制作スタジオ「FX」が見せた底力
「洋画再興」への第一歩に?

 ディズニーの製作スタジオの一つである「FX」は、前回の第75回エミー賞にて全16部門で受賞し、最多記録を更新していた(当時)。 FXには、クリエイターの知名度に左右されず、才能それ自体を認め育てる気風があるそうで、同スタジオの象徴的な作品として、有名な俳優を起用することなく大ヒットを収めた『一流シェフのファミリーレストラン』が挙げられる。

 同作はサンドイッチ店の再建に奮闘する内容のもので、聞くからに小さな世界の物語に思えるが、その舞台設定でエミー賞受賞作とするのはFXの実力であり、これが『SHOGUN将軍』でもいかんなく発揮されている。

 と、絶賛がやまぬ『SHOGUN 将軍』だが、「国内で視聴した日本人があまりいない」との指摘もある。ディズニープラスのシェアが主要配信サービスに劣ることに加え、日本国内では洋画不振が続いてきたことが関係していよう。

 しかしライターの武井保之氏は、今夏、『インサイド・ヘッド2』『デッドプール&ウルヴァリン』『エイリアン:ロムルス』の3作品がプチ~大ヒットとなり、「洋画再興への一縷の望みがかかる希望の光のような動向」と分析している。

【参考】
『SHOGUN 将軍』これだけ話題でも周囲に観た人がいないのはなぜ
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d8d83d264af96c88587b7380a6df7627491d96cf

 日本国内では邦画が圧倒的に強く、また近年映画製作が盛んに行われるようになっているので、洋画の食い込む余地がさらに減ってきている感があった。そんな中で『SHOGUN 将軍』は、洋画再興の流れをさらに強めるかもしれない。