「調査通知」が来たら修正申告に加算税
調査通知の導入以前も、税務署は事前通知を行う前に、納税者に対して「取り急ぎ、調査を実施する旨をお知らせします」という事務的な電話連絡をしていた。その上で、後日改めて“正式な”(=法に基づく)事前通知を行うという流れだった。
ところが、最初の電話連絡から事前通知までは、ある程度時間がかかる。そこに付け込んで、期限内申告(確定申告)の際に意図的に税額を少なく申告(過少申告)し、税務署から調査の連絡が来れば、事前通知が届くまでの間に修正申告を行う納税者の存在が問題となった。こうした抜け穴的な行為を予防する目的から、2016(平成28)年度税制改正で17年以降に「調査通知」を実施することが決まり、調査通知以後に修正申告書を提出すると加算税が課税されることになった。
たとえ、税務調査(実地調査・準備調査・反面調査)が実施される想定で修正申告をしていなくても、修正申告後に納めるべき税額に5~10%の割合を乗じた額に相当する過少申告加算税が課税される。あるいは、申告期限が過ぎてから申告した場合も、税務調査の実施を想定していなくても、納めるべき税額に10~15%の割合を乗じた額に相当する加算税が課税される(※3)。
少々ややこしいが、税理士の中にも、調査通知と事前通知の違いをよく分かっていない人もいる。元国税局や税務署の職員であった税理士を除けば、税務調査に対処した経験をほとんど持たない人がいかに多いかを痛感する。とはいえ、税務調査を一人で乗り切るのは困難なので、早めに調査に詳しい税理士を探しておこう。
※3 加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし(国税庁、PDFページ)