仕事の要素を分解して確認する

 繰り返しになるが、目的の捉え方や意識、すなわち仕事に対する景色の見え方は悪気なく相手とズレる。目的の言い忘れや伝え漏れも発生する。なぜなら我々は人間だからである。

 筆者は仕事を「5つの要素」に分解し、相手と景色合わせをする行動を推奨している。どんな仕事(あるいは会議の議題など)も、以下の5つの要素に分解できる。

 ①目的
 その仕事は、なんのためにするのか

 ②インプット
 原材料。データや参照すべき情報、意見照会先など

 ③成果物
 その仕事の成果の具体的なイメージや完了状態

 ④関係者
 その仕事に直接または間接的に関係する人。成果物の提供を受ける人。成果物を評価する人。意見照会先、インプットの提供元なども含む

 ⑤効率
 目標とする所要時間、コスト、歩留まりなど。結果としてかかった分も振り返る

 仕事を依頼する際、受ける際、あるいは組織の方針や指示などを伝達する際、相手と対話しながらこの5つの要素を確認しよう。

相手と一緒に、仕事の景色を合わせる

 あるいは仕事の進め方や慣習について「おやっ?」と思ったとき、仕事の5つの要素の図を見返してほしい。5つの要素を書きながら、あるいは相手と一緒に指差ししながら、抜け漏れや認識ズレがないか、ひいてはより良い方法がないか対話によって確認する習慣を身につけてほしい。

 依頼者が完璧である必要はない。5つの要素を書き出しながら、受け手と一緒に悩む、一緒に考える。その景色がもっとあってよい。そうすればいつの間にか、発注者と下請けの関係から、ともに同じゴールを目指す共創パートナーへとお互いの関係が変わっていく。その景色の変化が、組織にマインドシフトとカルチャーシフトをもたらす。

 人間ゆえの弱さに仕組み・仕掛けで向き合い、克服することもマネジメントだ。相手の気合・根性やエスパー能力に依存するのではなく、マネジメントで解決しよう。

一歩踏みだす!

 ・仕事を「5つの要素」に分解して確認する
 ・相手と一緒に要素を確認しながら背景を合わせていく

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。