いきなりステーキが「事業」として成立したのは、顧客ニーズにフォーカスしたうえで、不必要なものをすべてカットしたことです。

 高級ステーキ店のひろいテーブルやゆったりとした椅子といった同伴者と会話を楽しめるスペースを省き、おひとりさまの立ち食いにします。

 そのことで店舗面積は小さくて済み、顧客の回転率も上がり、いきなりステーキはビジネスとして成立できたのです。

「ひとりすき焼き」コンセプトは素晴らしいが
オープン前に“改悪”する可能性も?

 さて、本題の「ひとりすき焼き」の話に移りたいと思います。

 実はいきなりステーキがひとりすき焼きのお店を始めるというニュースを耳にしたときに、「ぜひ開業前に記事を書いてみたい」と思いました。

 普段は飲食店を記事にするにあたっては、評論家のマナーとして来店して実食してそれで語ることにしているのです。ですが、今回の記事はお店が始まる前に書かないと意味がないのです。

 理由はこのすき焼き新業態、「肉好き」の顧客の目線で言わせていただくとものすごくコンセプトがいい事業アイデアなのです。一方で、これまで戦略コンサルタントとして無数の新事業立ち上げを見てきた立場で言わせていただくと、事業化前の段階で潰されやすいアイデアなのです。

 一言で言えば、11月の開店時には失敗する方向に方向転換しているかもしれないと危惧しているのです。

 別の実例の話を先にします。ものすごくコンセプトがよくて、会社の側も成功したと思っていて、でも肉好きが実はがっかりした商品のひとつに、ローソンストア100の「だけ弁当」があります。