京都で一番早い紅葉は「都の西北」で

清滝川三尾(右京区)を流れる清滝川の清流。紅葉の森林浴でデトックスしたい

 京都の「三尾」をご存じでしょうか。「さんび」と読みます。神護寺、西明寺、高山寺という名刹を擁し、いずれも“尾”の字が付く高雄(高尾/たかお)、槇尾(まきのお)、栂尾(とがのお)という三つの山のことです。京都駅からは北西方面に15kmほど。鉄道はないので、路線バスに乗って小一時間揺られていきます。

 中でも高雄の神護寺辺りは、例年11月上旬頃から見ごろとなります。JR西日本バス「高雄」停留所から徒歩20分ほど。清滝川のせせらぎに耳を澄ませ、清澄な空気を胸いっぱい吸い込みながらのハイキングで、早めの紅葉が楽しめます。歩きやすい靴は必須。市街地よりも肌寒さを感じますので、羽織るものもリュックに入れておくといいでしょう。

 平安京の礎を築いた和気清麻呂が河内国に創建した神願寺と、山城国の高雄に創建した高雄山寺(こちらは唐で密教を学んだ空海が住職に)とが合わさって神護寺となり、平安末期に文覚(もんがく)上人により再興され、守り継がれてきました。

 創建が824(天長元)年ですから、今年はちょうど1200年となるメモリアルイヤー。9月まで東京国立博物館で特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり―」が開かれていたため、ご本尊の薬師如来立像や日光・月光菩薩、十二神将など寺宝の数々も東京にお出ましでしたが、無事お帰りになりました。

 清滝川に架かる高雄橋から400段ほど石段をひたすら上がっていくと、息が上ったころに神護寺の楼門にたどり着きます。参道の途中には、空海が硯の代わりに使ったというミラクルな逸話を伝える巨石「硯石」があるのでお見逃しなく。

 楼門をくぐった先、五大堂から右手の石段を上がると、ご本尊の薬師如来像をお祀(まつ)りする金堂が。石段の両側を彩る紅葉と金堂の荘厳なたたずまいとの共演が見られます。後ろを振り返ると、五大堂と毘沙門堂。並び立つ二つのお堂に紅葉が寄り添います。12月10日まで特別に御開帳されている平安時代作の秘仏「毘沙門天」(重要文化財)にも注目です。

 境内最奥にある地蔵院でお参りしたら、かわらけ投げにもチャレンジしてみましょう。清滝川の渓谷を見下ろす絶景スポット。紅や黄色に色づく渓谷に向かって素焼きのお皿を投げ、厄除けを願えば、気分がスカッとしますよ。