三尾から秘密のスポット「岩戸落葉神社」へ

岩戸落葉神社岩戸落葉神社のイチョウの見頃は、例年11月上旬~中旬 Photo:PIXTA

 神護寺からの帰路、空海ゆかりの硯石のそばにある茶店「硯石亭」。もみじ餅で有名ですが、ここで販売されている高雄名物「もみじの天婦羅」はいかがでしょう。葉自体はほとんど味のないものですが、衣に甘さを加えているため、かりんとうに似た風味で、サクッとした食感の揚げ菓子という印象。秋の風流を舌でも味わってみてください。

 神護寺から槇尾の西明寺と栂尾の高山寺はいずれも徒歩圏内。神護寺の楼門から石段を下り、清滝川沿いを歩いて西明寺まではゆっくり歩いて30分。西明寺から世界遺産の高山寺までは20分ほどです。紅葉巡りと併せて、3カ寺を巡り歩いてもいいでしょう。

 三尾を訪れた際、ぜひ足を延ばしたい秘密の場所があります。高山寺から周山街道を北へ10kmほど先、清滝川の上流で北山杉が林立する山あいに岩戸落葉神社(北区)がたたずみます。JR西日本バス「高雄」停留所から「周山」行きで17番目の停留所「小野郷」から徒歩5分ほどです。

 静謐な空気が満ちる境内は、平安時代よりも古い歴史があるとか。社の名は『源氏物語』の中で主人公の光源氏の異母兄に当たる朱雀帝の娘「落葉の宮」が、この辺りに暮らしていたことに由来します。こぢんまりとした境内を染め上げるイチョウの大樹が陽の光に照り映えて神々しいほど。真骨頂は11月中ごろ、その名の通り「落葉」にあります。舞い散ったイチョウの葉が黄金色のじゅうたんとなり、赤い鳥居と黄金色の対比が目にも鮮やかでした。