「畜産ソーセージより100円安い」
家庭での圧倒的な優位性

 ひとつは、値段の安さである。近年の物価高で消費者は節約志向を強め、畜肉ソーセージよりはおおむね100円ほど安い魚肉ソーセージが選ばれやすくなった。

 その「100円安い」も、「1100円が1000円」くらいの変化ならまあ気にならない誤差かもしれないが、畜肉ソーセージの平均価格がだいたい300円前後なのに対して、魚肉ソーセージが200円前後である。

 こちとらは日々「あっちのスーパーの卵が20円安い」などと呟きながら食料品店を渡り歩いて買い物をしている身なので、その価格帯での100円の差は、脳天を棍棒で殴られたかのごとき衝撃を伴って受け止められる。かくして魚肉ソーセージは、「日々のソーセージ」として購入の選択肢に俄然入ってくるようになったのであった。

 蛇足だが、若年層に魚肉ソーセージが受けていることにも価格が関係していよう。自らの小遣いで買うのか、家族に願って買ってきてもらうのかは家庭によるだろうが、安い方が買いやすいし、「買ってきて」と頼みやすいことは間違いない。

「おじさんのジャンクフード」は今は昔
圧倒的に健康的でお洒落

 魚肉ソーセージが注目されている2つ目の理由は、「健康食品化」である。

 日経新聞が作成した「魚肉ソーセージの売れ筋ランキング」(2024年4月の月間)という資料があるが、これを参考に見てみると、売れ筋上位15品のうち、「栄養機能食品」6品、「特定保健用食品」4品と、健康関連の商品が実に10品を占めているのである。

 健康志向の魚肉ソーセージこそが売れ筋の本流といって差し支えなく、日本で初めて「心血管疾患に対する疾病リスク低減の特定保健用食品」として許可を受けた商品(マルハニチロ)なども出てきている。魚肉ソーセージ界のこの路線は、しばらく継続されるものと思われる。

 魚肉ソーセージはまったくジャンキーなどではなく、むしろ「お洒落で体にいい食べ物」枠に入りつつあるのかもしれない。