ひとりで歩かせたいのならせめて、筋肉の代わりになるようなバネか何かを与えてあげなくてはいけない。そうなると、彼らはずいぶんといかつくなってしまうので、夜にそういったものに追いかけられるというのは、怪談というよりはSF的な怖さになってしまうかもしれないが……。

 さて、真面目な話に戻ろう。先ほどから何度も述べているように、しっぽには仙骨や尾椎といった骨があり、その骨には運動を可能にするための筋肉である尾筋が付着している。

 脊椎動物のしっぽには、主にしっぽの伸展や屈曲といった上下運動に関わる筋肉、あるいは外転をはじめとする左右方向の運動に関わる筋肉などが存在している。

 背側には伸展に関わる尾伸展筋群や外転に関わる尾外転筋群、腹側には屈曲に関わる尾屈筋群が見られるのが一般的だ。具体的に、どういった種類の筋肉がどういったかたちで存在するかは種によって異なり、これはしっぽの長さや使い方と大きく関係している。

 たとえば、哺乳類の多くで見られる尾筋の中に、骨盤に起始し、尾椎に停止する筋群がある。