地球温暖化の影響で
日本近海の漁場は縮小傾向

 ここまでの良いニュースの反対に、悪いニュースとは何でしょうか?それは地球温暖化による気候変動に伴って日本近海の漁場が縮小し、徐々に北の海へとサンマが移動していることです。

 古い日本人にとっては「さんま苦いか塩っぱいか」という詩人・佐藤春夫さんの『秋刀魚の歌』はよく知られた詩でした。その佐藤春夫さんが和歌山県出身の詩人だったように、実は日本のサンマ漁は紀伊半島から始まったという話があります。

 秋になると北の海からの寒流にのってサンマの群れ南下し、日本沿岸の漁師さんたちがそのサンマを獲ってきた。その漁場が年々、北に移動していったのです。現在ではサンマの水揚げが2000トン以上の漁港は千葉県の銚子漁港が一番南で、それ以外は東北以北の漁港です。

 サンマの漁獲量も1980年代から2014年まではほぼ毎年20万トンから30万トンの間におさまっていました。そこから漁獲量が急減し、2023年には2.4万トンまで減少したというのがここ10年で起きたことです。

 漁獲量調査を見ると、千島列島からアリューシャン列島にかけてアラスカ方面の北太平洋にはサンマは豊富に生息しているのですが、日本近海からは激減してしまったというのが現在の状況のようです。今年は根室の北に新たな漁場が発見されたので、去年の2.4万トンよりは豊漁だということなのです。