こうした家庭に生まれた子どもたちにとって、様々な「体験」の機会は、得られなくても仕方のない「贅沢品」だろうか。そうであるべきではない、「必需品」であって然るべきだと私は思う。
だが現実は厳しい。私たちの調査結果をもとに、「体験格差」の実態を確かめていこう。
放課後も休日も「体験ゼロ」の
子どもは全体の15%にのぼる
ここからいよいよ、「体験格差」の全国調査の結果とその分析に入っていく。まず確認しておきたいのが「お金」と体験格差の関係、つまり、親の収入の大小と子どもの「体験」のあり方との関係だ。
経済的に一定の余裕のある家庭に生まれた子どもと、様々な費用を切り詰めながら生活せざるを得ない家庭に生まれた子ども、そうした「生まれ」の違いに伴い、子どもたちにとっての「体験」の機会には、どのような格差が存在しているのだろうか。
最初に、全体の中で「体験ゼロ」の子どもたちがどれだけいるのか、その割合を見ていくところから始めよう。
ここでいう「体験ゼロ」とは、私たちが調査の項目に含めた様々な学校外の体験が、直近1年間で「1つもない」ことを意味する。
要するに、スポーツ系や文化系の習い事への参加もなければ、家族の旅行や地域のお祭りなどへの参加も含めて「何もない」ということだ。お金を払わなければ参加できないものが多いが、無料で参加できるものも含まれる。