クルーズ船のイメージ図の前でポーズをとるミッキーマウス、オリエンタルランドの吉田謙次社長、高野由美子会長、加賀美俊夫取締役会議長、ニューエクスペリエンスポートフォリオ兼ディズニーシグネチャーエクスペリエンスのトーマス・マズルームプレジデント、ディズニー・クルーズラインのシャロン・シスキーシニアバイスプレジデント、ミニーマウス(左から)ミッキーマウス、オリエンタルランドの吉田謙次社長、高野由美子会長、加賀美俊夫取締役会議長、ニューエクスペリエンスポートフォリオ兼ディズニーシグネチャーエクスペリエンスのトーマス・マズルームプレジデント、ディズニー・クルーズラインのシャロン・シスキーシニアバイスプレジデント、ミニーマウス Photo:SANKEI

客単価25万円を想定
ディズニーホテル並みの高稼働がカギに

 手始めに、ディズニークルーズの軌跡を振り返りたい。米国ディズニー社のクルーズ船は、1998年の新規参入時は8.3万トン、2400人規模だった。2010年代に入ると12.8トン、2500~4100人規模を導入した。続く20年代に14.4万トン、4000~5500人規模へ、そして25年には20.8万トン、6000人規模の導入を予定している。つまり、船の大型化とラインナップの拡充を同時並行で行ってきた。

 この流れは止まらず、ディズニー社は現在の計8隻に加えて、27~31年にさらに4隻増やす方針である。これはOLCにとってもメリットが大きい。OLCが造る船は、ディズニー社が長年かけてノウハウを構築した標準的かつ中間的な規模。参入コストと事業リスクを抑え、運営ノウハウも有効に活用できると考えられるからだ。

 OLCがディズニークルーズ事業を始めるに当たっては、船の所有・経営・運営を一貫して行うことも重要なポイントだ。船旅が目的というよりもディズニーの世界観にどっぷり浸る、無寄港クルーズで始めることは冒頭で述べたが、これを実現するためには、一度は外国の港に着岸しなければならない外国籍船ではなく、その規制のない日本籍船とする必要があるからだ。

 収益面も分析してみよう。OLCのクルーズ事業は、年間売上高1000億円、年間客数40万人が想定されている。単純計算すると、客単価は25万円だ。これは東京ディズニーリゾートのホテルに宿泊しテーマパークを利用するゲストの客単価より高い水準である。

 そして、乗客定員4000人で年間客数40万人を達成するためには、東京ディズニーリゾートのホテルと同じように高い稼働率を維持しなければならない。これが経営における基本命題となる。