オープンした東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」の「ピーター・パン」のエリア東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」=6月6日、千葉県浦安市 Photo:JIJI

ディズニーランド・シーと連携しながら
コンテンツの最大活用に期待

 OLCがクルーズ船を所有することに関して、もう一つ重要なポイントがある。テーマパーク運営と同じように、ディズニー社側にコスト負担のない事業スキームを描くことができるのだ。クルーズ船に総額3300億円もの投資を行うことを決意したのは、そのためだ。6月に東京ディズニーシーに誕生した新エリア「ファンタジースプリングス」への総投資額約3200億円を上回る額である。

 クルーズ船の開発は、テーマパーク開発と同様、ディズニー社のイマジニアリングが担当する。船名に表すテーマに沿ったストーリーに基づき、船内デザインやステージにおけるショーなどが創り込まれていく。

 ここに、これまで東京ディズニーリゾートで、非日常の空間と体験を提供してきた運営ノウハウが展開される。OLCがクルーズ船を所有することで、造船の初期段階からOLCの意向を色濃く反映させることができるのだ。

 また、OLCのクルーズ船は首都圏の港から発着する。必然的に、東京ディズニーリゾートと連携しやすい立地にある港の利用が優先的に検討されるであろう。

 クルーズ事業は、テーマパークやホテルなどの既存事業との相乗効果が期待できる。米国ディズニー社のクルーズ客に見られるような、クルーズ前後にテーマパークを利用するゲストは日本では少ないと筆者は想像しているが、同じゲストがクルーズとテーマパークを使い分けて双方をそれぞれ楽しみ、累計利用者数を増やす可能性は十分考えられる。

 そのため、クルーズとパークはさまざまな連携を図ることが予想される。東京ディズニーランドやシーの各種ストーリーと関連させたクルーズ船内のストーリーづくりにも大いに期待したい。

 先々は、無寄港クルーズだけでなく、国内はもちろん海外に出るクルーズなどバリエーションを増やすことも検討して欲しい。実現すれば、米国フロリダから就航するディズニークルーズに見られるような、専用寄港地の開発にもつながる。

 ディズニークルーズが、新たな夢と魔法の王国を形成し、東京ディズニーリゾートのテーマパーク事業に次ぐ柱に成長することを期待してやまない。