このほか、ロジネットジャパンも売上高が5.7%増、営業利益が9.9%増で料金改定が収入押し上げに寄与。適正運賃の確保が進んだカンダホールディングスも売上高が3.0%増、営業利益が5.5%増となった。遠州トラックも価格転嫁が徐々に進み始めたことなどから、売上高が4.6%増、営業利益が21.8%増と2ケタ増益となった。

ヤマトは営業赤字に転落
丸和が大幅減益の理由は?

 一方、ヤマトホールディングスは売上高が8404億1300万円(3.0%減)、営業損失が150億100万円(前期は123億5800万円の黒字)。純損益も111億7400万円の赤字だった。宅配便事業で大口顧客を中心に宅配便単価が下落したことも利益の押し下げ要因となった。ヤマトは通期業績予想も大幅に下方修正している。

 福山通運は売上高が1468億400万円(3.9%増)と増収を確保したものの、営業利益は44億8500万円(28.1%減)と2ケタの減益。車両の大型化や協力会社への委託などによる輸送力の増強に取り組み、上昇する輸送維持コストに対応した価格転嫁にも努めたが、想定していた単価改善には至らなかった。

 AZ-COM丸和ホールディングスは、売上高は1014億4000万円(前年同期比5.1%増)と増収だったが、営業利益は43億2600万円(40.9%減)と大幅減益。物流事業で、各種コストの上昇を背景とする適正な運賃への価格転嫁の取り組みに一部で進捗の遅れが生じたことも要因とした。

 物流業界の価格転嫁は徐々に進みつつある。帝国データバンクの調査によると8月時点で「運輸・倉庫」の価格転嫁率は前回調査の27.8%から34.9%へと上昇。燃料費高騰などに起因する「物価高倒産」も10月は「運輸業」では前年同月比10.0%減となり、価格交渉が進捗したことで、人件費や燃料代が高止まりするが倒産は減少している。

佐川は2ケタ増収、ヤマトは赤字転落…物流最新決算で明暗が分かれたワケ価格転嫁が進み始めた(写真提供:カーゴニュース)
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