楊さんを起用したJDドットコムに対し、男性たちの不買運動が
それから約3年。男性ネットユーザーたちは楊さんへの怒りを忘れていなかった。楊さんを起用したJDドットコムにはまたも男性ユーザーから怒りの声が殺到。JDドットコムを退会するとか、アプリをアンインストールするなどと不買を主張するもの、またその敷衍サービスである金融や財テクサービスからも全資金を引き出す、今後一切JDドットコムのサービスは利用しない――などといった宣言も寄せられた。さらには、ネット上に「JDの職員は90%以上が女だ」とか「JDは外国機関からの資金援助を受けている」などといった、奇妙な流言を流す者まで現れた。
この騒ぎを受けて、JDドットコムは謝罪、楊さんとの契約を白紙に戻すとSNSで声明を発表した。その声明上では楊さんの名前すら出さず、「関係出演者との協力計画」とのみ触れるにとどまるという萎縮ぶりで、男性批判者は溜飲を下したようだ。
実はJDドットコムが「双11」キャンペーンに採用したのは楊さんを含む複数のイメージキャラクターで、楊さんはそのうちの1人という位置づけだった。もとより、楊さんを有名にしたスタンダップコメディ番組は、IT大手「騰訊 Tencent」(以下、テンセント)の傘下動画チャンネルで配信されており、JDドットコムはテンセントと深い資本関係にある。つまり、若い活発な女性ファンを引き込むために、楊さんはうってつけの人物だと映ったらしい。
しかし、怒涛のように押し寄せた男性消費者の不満に、JDドットコムは怖気づいた。JDも、そして楊さんもとくに男女の対立を煽るつもりはなかったらしいが、消費者の反応はその想像を超えるものだったという。メディアのインタビューにJDの広報担当者は、「もしかしたら海外からの特別な意図を持った人に利用され、事実を歪曲されてしまったのかもしれない」と述べている。
それにしてもなぜ、「男たち」の感情はここまで傷つきやすいのか? 女性がその体験からその気持ちを公に語ることすら男性は受け入れられないのか? 楊さんファンの女性たちの間ではそんな「男たち」の心理が大きく取り沙汰されている。