生活圏内の電車内飲食は鉄道会社によっても見解は分かれるが、大勢はだいたい「常識の範囲内でのご利用を」という、納得行くような煮えきらないような回答となる。参考までに、車内飲食に関して公式サイトで言及がある阪急電鉄では、「禁止ではないが周りに迷惑にならないようにご配慮を」とあって、JR西日本では「お酒を飲んで大声(で会話)」がマナー違反であるとされている。つまり、よほどでない限り、だいたいの飲食はどこの鉄道会社も許容しそうな気配が漂っている。
鉄道会社がこのようなスタンスである以上、「マナーや常識的な範囲をどう解釈するか」を巡った最終的な判断は、現場やそれぞれの乗客に委ねられる。電車内の飲食について議論が百出するのは、こうした背景があったからだったらしい。
車内で同時多発的「ペペロンチーノ食い」も?
鉄道会社に委ねられる判断の重み
全国の車両にニンニク臭がすごいペペロンチーノを食べる学生さんが同時多発的に発生すれば、おそらく問題視されるようになって、鉄道会社ももう少し積極的に規範を示そうとするはずだが、発生件数の少なさや迷惑度の低さから、”車内飲食”に関してはそれほど大きな問題ではないと運営が認識しているということである。
結局、「車内飲食は常識の範囲内で」という答えにもならないようなフワッとした目安が現時点での答えなのだが、問題に感じられる車内飲食は見るからに常識を逸脱していて、それに遭遇した時のショックはなかなか大きい。
車内飲食は可なら可で、不可なら不可で運営が示してくれれば、乗客の心の平穏はやや増すはずである。車内飲食可であれば、ペペロンチーノが臭くても「くさいな」と思うだけでマナー違反に対する憤りは湧いてこず、心中はいくらか平和である。
しかし実際は、白黒をハッキリさせないグレーゾーンのもとで運営されている。
これは鉄道会社の、乗客に対する「迷惑にならなければ食べてもらって結構ですよ」という優しさでもあり、白黒ハッキリさせるもさせないも一長一短で、結局現状維持に帰結する各社の方針にも頷けるものがあるのであった。