誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!

【精神科医が教える】自己肯定感を自ら下げてしまう“残念な行為”・ワースト1Photo: Adobe Stock

自分を恥じるな

今日は「自分を恥じるな」というテーマでお話しします。

誰でも過去の失敗やちょっとやらかしてしまったことをふと思い出して、「なんであんなことをしてしまったんだろう」と自分を責めたてたり、恥じ入ることがありますよね。

私もそういうことがあります。でも、そこで重要なのは、自分を恥じすぎないことです。

穴が合ったら入りたい……

恥じる気持ちは自然に浮かび上がる感情なので、多少は仕方ないかもしれません。ただ、それを何度も繰り返し思い返して、過去の出来事にとらわれ続けるのは、積極的に避けたほうがいいです。

何度も思い出してしまうと、ネガティブな記憶が強化され、どんどん自己肯定感が下がってしまうからです。

恥じることをやめられないと、「自分には価値がない」とか「穴があったら入りたい」という気持ちにとらわれ続け、前向きな感情を失いがちです。

他人に言えないような恥ずかしいこと

ここで覚えておいてほしいのは、どんな立派な人でも、どんなに偉そうに見える人でも、みんな恥ずかしい失敗や“やらかし”をしているということです。それが人間というものです。

特に初めてのことや苦手なことに挑戦するとき、あるいはここいちばんの失敗したくない仕事や恋愛の場面では、緊張感も相まって人はどうしても「他人に言えないような恥ずかしいこと」をやらかしてしてしまいがちです。

それが1つや2つではなく、10や20あっても、なんら不思議ではありません。むしろ、それが普通なんです。

恥ずかしい経験がない人なんていない

そういう経験を振り返り「ああ、あれは自分にとって学びになったな」と思えれば、それで十分なのです。

大事なのは、恥ずかしい過去を思い返して、何度も自分を責め続けないこと。むやみに自分を傷つけ、前向きに生きるエネルギーを削るようなことはしないでください。

「恥ずかしい経験がない人なんていない」と割り切り、自分もその一員なんだと思えば、少しは気持ちがラクになります。

目をつぶって流してしまおう

誰だって「黒歴史」のようなエピソードを持っています。それどころか、人生のほとんどは黒歴史で埋め尽くされていて、そのなかにときどき光が差す瞬間があるだけ、なんていう人もいるでしょう。

それでいいんです。目をつぶって流してしまいましょう。過去の自分を責める必要なんてありません。むしろ、「周りの人のほうがもっと恥ずかしいことをしているかも」と思うくらいの気持ちでいるほうが、人生は楽しくなります。

ぜひ、自分を恥じる気持ちを手放し、いまに目を向けてください。それが、健やかに自己肯定感を高めて生きる秘訣だと思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。