高円寺でビジネスが成り立つのであれば『すきはな』は全国に100店は展開可能でしょうけれども、成り立たなければ全国20店舗にとどまるという感覚です。そして株主は前者を要望するでしょう。
その場合、今のメニュー構成が課題になりそうです。若者向けの新構成としてはメニュー変更の実験が必要かもしれません。
たとえば黒毛和牛2530円を最上位に、国産牛1980円の下にもうひとつ米国産牛のコースを設定して実験するようなイメージです。行動経済学的な観点の話ですが、お品書きに最初から3850円のメニューがなければ若い消費者はそのお店を敷居が高いお店だとは認識しないものです。
店舗のグレードについてもたとえば『たけし軍団』流に『すきはな』と『すきはなセピア』に分けて(わかりにくいですか?)、後者は味の評点を85点に落としてでも手ごろな価格でひとりすき焼きを提供した方が全国100店舗展開できるかもしれないという発想の話をしています。
さて、『すきはな』のビジネスモデルのいい点についても評価しておきましょう。とにかく美味しいというのが商品としての利点だとすると、ビジネスとしての最大の利点は多店舗展開しやすく、かつ真似しにくいことです。
『すきはな』のビジネスは『木曽路』にはマネできない
老舗のすき焼き店では焼き手の力量ですき焼きの美味しさは変わります。グループの鍋奉行が自分たちの鍋を調理するようなお店の場合はなおさらです。
あまり細かくは書きませんが『すきはな』のようにIHで鍋の温度がコントロールされていて投入される調味料が同じ量なら、焼き手が代わっても味は安定します。新人をトレーニングするのも短期間でできます。
それ以外の要素、つまりメニュー構成や店舗のレイアウト、オペレーションも最初から多店舗展開できるように設計されている様子です。
つまり、『すきはな』のビジネスモデルは多店舗展開が前提で作られているのです。
一方で、真似されやすさはどうでしょう?