あなたの部下はこの1年、どんな仕事をしていましたか? 最後に一対一で話をしたのはいつでしょうか? 上長と部下が一対一で行う「1on1ミーティング」は今や多くの職場で“当たり前”となりました。ヤフーが実践してきたこの対話手法は、単なる業務報告や評価面談とは異なり、部下の成長を支援し、信頼関係を築くためのものです。本稿では、2017年に発売されて以降、最も売れ続けている1on1の入門書『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』(本間浩輔・著)から一部を抜粋・再編集して、1on1が持つ本当の意味と効果を解説し、成功するためのポイントを探ります。

1on1の基本は「傾聴」
進捗報告や評価面談など、組織における上長と部下の面談にはいろいろなものがありますが、ヤフーの1on1は部下のために行う面談です。
なので、30分の対話が終わったときに、部下が「話してよかった」と思えばまずは成功です。
1on1を本音が話しやすい場にするには、心がけるべきこと、守るべきポイントがあります。
以下に示すケースAとケースBは同じシーンの対話例ですが、部下のための面談かどうかという点で、大きな違いがあります。
1on1の基本は「傾聴」です。上長は、部下がストレスなく本心から話せるような場をつくる必要があります。
自分が部下だったら、どちらのケースの上長のほうが話をしやすいでしょうか。
ケースA


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ケースB


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上長「鈴木さんの能力が高いというのは実際どうですかねえ」
ケースAの上長は「彼の弱いところだな」と決めつけたのと同様に、部下の言葉を否定することで、対話の流れを止めてしまっています。
本来の1on1は「部下のための時間」のはず。このような1on1では、部下の成長を支援することができません。
では、上長はどうすればよかったのでしょうか?