新NISAで買える隔月分配型の投資信託は、分配金が2ヵ月に1回もらえるのが魅力。しかし、分配金利回りだけに目を奪われてはいけません。重要なのは分配の実力がわかる「本当の利回り」です。隔月分配型を買うべきではない人もいます。『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』から、隔月分配型の投資信託の選び方とオススメの例、そして注意点を紹介します。

分配金が高ければいいものではない!
「本当の利回り」で安心できる投信を選べ

 新NISAではオルカン*1などの全世界株型や米国株S&P500連動型のインデックス投資信託が圧倒的な人気(「オルカン」は安さでは2位! 最安の投資信託に乗替えるべき!? の記事、および新NISAで買える超低コストの全世界株型インデックス投信ランキングの記事、および新NISAで買える米国株型インデックス投資信託の最新ランキングが激変! 低コスト1位の投信は買い?の記事を参照)。一方で、投資信託全体で見ると、毎月分配型も根強い人気を持っています。

 しかし、毎月分配型は新NISAでは対象外で買えません。代わりになるのが、2ヵ月に1回、分配金が出る「隔月分配型」です。隔月分配型の人気の中心はシニア層。年金のない月に分配金をもらえば家計の助けになります。実際に隔月分配型はそれを主な狙いとしており、ほとんどは奇数月に分配金が出るタイプです。新NISAでは、分配金も非課税で受け取ることができます。

 ただし、分配金利回りだけ見て選ぶのは失敗のもとです。いくら分配金が高くても、それ以上に基準価額(投資信託の値段)が下がっていたら意味がありません。毎月分配型が新NISAの対象から除外されたのは、“長期的な資産形成に向かない”という理由ですが、元本を取崩して高い分配金を出す“不健全”な投信が多かったことも背景にあります。

 そこでチェックしたいのが「本当の利回り」。基準価額が下がった場合は、その下落分を差引いて算出する数字です。

分配金と成績の安定性も重要!
「六花選」は「本当の利回り」が良好

 分配金目的の場合は、安定性も重要です。隔月分配型の中には、新興国株や海外リートなどに特化して投資する投資信託もありますが、こうしたタイプは高利回りでもリスクが高く、成績や分配金が不安定。バランス型や債券型の隔月分配型のほうが、足元の分配金利回りは目立って高くなくても、安定的に分配金を受取ることができるでしょう。

 重要なのは、ちゃんと利益を稼いでいて、それに見合った分配金を出す投資信託を選ぶ、ということです。

 例として紹介する「MHAM6資産バランスファンド」(愛称「六花選」)は、長期的に見て成績が良好。分配金は、利子・配当を元手にした基本分に加え、値上がり益から6カ月に1回のボーナス分配金を出すという、無理のない分配方針です。「本当の利回り」も安定した推移が期待できます。

新NISAで買うべき隔月分配型投信※基準価額と純資産額、信託報酬は2024年10月11日時点。他のデータとグラフは24年9月末時点。販売会社のauカブコム証券は2025年2月から三菱UFJ eスマート証券(eスマ)に社名変更。拡大画像表示

資産の成長を目指す人に隔月分配型は不向き
分配金再投資は非課税枠を消費する

 隔月分配型の投資信託に関しては、もう一つ、注意点があります。“資産の成長が目的の人には向かない”ということです。

 多くの分配金を出す投資信託は、元本の増え方は緩やかになります。稼いだ利益を分配金として払い出すためです。利益が利益を生む“複利効果”が小さくなるため、資産の成長という観点では不利なのです。利益以上の分配金を出している場合は、元本が減ることも。

 投資信託や取り扱う金融機関によっては、分配金を自動で再投資に回すことも可能です。しかし、この再投資分は新NISAの非課税枠を消費します。非課税枠を超えた分は、課税口座での扱いとなります*2。ちなみに、新NISAの投資額は購入金額で計算されるので、投資信託の値上がり分は気にする必要はありません。

 同じ運用内容で、隔月分配型、年1回決算(分配)型など複数のタイプがある投資信託も多いのですが、よくわからずに隔月分配型を選んでいる人もいるようです。分配金をもらうのが目的でなければ、分配金を出さない、あるいは分配回数や分配額が少ない投資信託を選びましょう。

*1 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の通称。
*2 金融機関によっては扱いが異なる場合もある。

※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。