このように、現在インターネット上のバーチャル空間では、様々なプラットフォームを舞台に活動する人々がいる。こうした人々は、特に2010年代以降に世間の注目を集め、新世代のエンタメとして広く認識され始めた。

 そういった潮流のなかにあって、VTuber(バーチャルYouTuber)とは、「インターネットを通したバーチャル空間で、アニメキャラクター的なビジュアルとなって、YouTuberやストリーマーのような活動をする存在」であり、ブレイクした時期・一般的に広まっていた時期を鑑みれば彼らの後輩とも言える。つまり、VTuberは、YouTuberやInstagrammer、TikTokerらと同じく「インターネット上で様々な活動をする活動者」の一部であり、高い人気が継続する者は、社会的な影響力がある人物、すなわち、インフルエンサーとしての性格を帯びることになる。

互いの欲望が交差する
VTuberの生配信

 こうした類似点の一方、VTuberがVTuberたる特徴は何よりも「アニメキャラクター的なビジュアル」にある。モーションキャプチャーやlive2Dの技術を用いて、活動者はアニメキャラクターのようなビジュアルを伴って、動画や生配信に登場するのである。自身のビジュアルを拡張的に表現したビジュアルのことを「創作的ルックス」と呼ぶことにしたい。

 VTuberの活動は、生配信を視聴しに来たリスナーと会話をしたり、ゲームプレイを画面上に映して楽しんだり、事前に収録した面白動画を公開したりすることだ。

 活動者(演技者)はリスナー(観客)の心を動かしたい。それを視聴するリスナー(観客)は活動者(演技者)の一喜一憂する姿、感情の機微が見たい。そういった互いの欲望が交差する場となる。こうした相互作用はVTuberのみならず、他の活動者にも見られるところだろう。