さすがVWのトップセラー
弟分とはひと味違う

 試乗中、シフトダウンしてもエンジンブレーキがあまり利かず、もう少し利いてくれたほうがリズムをつかみやすいように感じたが、効率としては現状がベストというのがVWの考えなのだろう。ちなみにWLTCモード燃費は15.6km/Lをマークする。

 今回はドライブできなかったが、2LTDIディーゼルは、排出ガスをクリーンにするSCRシステムを2つに増やしたツインドージングシステムを採用。193ps/400Nmと力強く経済的で、4WDの利点で走破性にも優れる。遠方へ出かけてアウトドアレジャーを楽しむようなユーザーに積極的にお勧めしたい。

 足回りは、アクティブとエレガンスのガソリン車はコンベンショナルなサスペンションを採用。引き締まった味付けでやや硬さを感じる状況もあるが、この点もまたT-Crossと比べると後席も含め乗り心地に配慮されていることがうかがえる。

 ステアリングの操舵力は軽く、従来よりも手応えがマイルドになったように感じたが、正確なハンドリングはしっかりと継承。自信を持ってドライビングが楽しめた。ディーゼル車とRラインのガソリン車には、複雑な制御を実現したアダプティブシャシーコントロール“DCC Pro”が標準装備される。これは伸び側/縮み側を独立したオイル回路とした2バルブ独立制御式ダンパーを装着したもの。一段と快適な乗り心地と、ダイナミックなハンドリングが味わえる。

 eTSIの場合、エレガンスとR-Lineの価格差は約40万円ほど、印象的な内外装とともに、凝った足回りが味わえるのだから、むしろお買い得という気がした。

 ティグアンは、弟分とはひと味異なる上質と洗練を身につけていた。優れた走りと利便性、装備の充実ぶりは、さすがVWのトップセラーである。いままで以上に多くのファンを獲得するに違いない。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)

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