不満の声に見える「問題意識」
インバウンド危惧が増している理由は?
外国人観光客への不満の声や問題提起には次のようなものがある。
・嘆かわしい。
・お金を落としてくれるのはありがたいけど……。
・無計画に受け入れるから問題が出てきている。
・注意喚起やマナー向上の呼びかけを観光客に対してもっとするべき(観光庁がマナー啓発動画を制作・配布するなどしてはいる)。
・日本側の各施設、場合によっては警察も含めて、無法な振る舞いには毅然と対応すべき。
なお、こうした不満の声の裏に、少数ながら日本の至らなさを指摘するものもある。
・日本人にもマナーが悪い人はそれなりの数いるので、外国人観光客が目立つからと言って彼らばかりを責めるのは疑問。
・経済で落ち目の日本(※筆者注:その人の主観です)がごちゃごちゃ言う資格はなく、黙って外国人観光客を受け入れるしかない。
両者とも立場は違えど現状に何かしらの問題意識を持っている。だがインバウンド危惧派の方が圧倒的にマジョリティなので、両者の間で議論はあまり活発には起きていないように見える。
外国人観光客への不安・不満がここ最近でこれほど募ってきた理由は何か。
これはおそらくいくつもの原因が重層的に影響し合ってこうなっているので、一言で「こう!」とは説明しがたい。主なところでは次のような原因が想定される。
まず、うがった見方だが、日本の新たなストロングポイントとして「民度の高さ」が推されているかもしれない。生活は金銭的な面でに長いこと不安定だしGDPは他国に抜かれるし、経済の代わりに誇れることとして「民度の高さ」に注目が集まっている可能性が一点。※ちなみにここでの「民度」とは、マナーや法律を守る常識的な人の割合、ぐらいの意味である。
次に、国民感情の大きな流れである。日本では一昔~二昔前から自国を改めて愛そうとする傾向が強まってきている。たとえば「自虐史観」という言葉は1990年代から一部の学派を中心に打破するべき対象としてよく用いられるようになった。