例えば各所で悪評高い中国人観光客だが、個人的な体験だと中国の人はたしかに集団になると手を付けにくくはなるが、1対1だとすごく紳士的に話が進むことが往々にしてある。筆者の運が連続的に良かっただけかもしれないが、ひとつの救いあるケースとして参考にされたい。

「外国人観光客に理解してもらう」という姿勢は、事ここに至っては特に肝要であるように思う。対馬市の和多都美神社が「遺憾ながら」と表明した観光客立入禁止は、神社を被害から守ると同時に、その措置を通して観光客に「やってはいけないこと」を考える機会を投げかけた。

 非常に有意義だし、その毅然とした対応に世間は称賛の声を送ったのであった。特に日本人は外国人になぜか弱いので、意識的にシャンとするくらいで丁度よいかもしれない。

旅行者にぜひ広めたい
「レスポンシブルツーリズム」とは?

 年間215万人(※公式サイトより)以上の外国人観光客が訪れる岐阜県の白川郷(白川村)などでは、「川の向こうに駐車場を作る」「夕方以降は日帰り客を受け入れない」といった施策のほか、「レスポンシブルツーリズム」というのを提唱して利用客に理解を促している。

 レスポンシブルツーリズムとは、簡単に言うと「旅行先への責任とリスペクトを持とう」という姿勢である。例えば白川郷におけるレスポンシブルツーリズムは、「世界遺産だけど合掌造りの集落には今なお500人近い村民が暮らして彼らの生活もあります。観光と村民の生活を両立させるために、旅行者の方はぜひ責任と助け合いを」ということで、ゴミの持ち帰りや指定場所での喫煙を呼びかけている。

 耳馴染みの薄い新しめの横文字用語なのでちょっと抵抗あるかもしれないが、個人的にはSDGsなんかよりはぜひ広まってほしい概念である(SDGsは概念そのものというよりそれがゴリ推されている風潮が嫌である)。

 政策への不安や大きなうねりとなっているオーバーツーリズムを前にすれば、「レスポンシブルツーリズムの提唱」は施策としてか細く無力に思えるかもしれない。が、将来を好転させていくポテンシャルを持つ試みではある。

 何より、旅行先に日本を選んで来てくれた人たちである。少しでもいい思い出を持って帰ってもらいたく思うのが現地人としての人情で、その思い出が日本ならではの美しさに彩られたならそんなに嬉しいことはないはずである。