日本のマナーを知らないだけ?
理解を促す一手に必要なもの

 では迷惑な訪日観光客は、どのような心構えで見守る、または接するのがよいのであろうか。

 やや危ういのは、迷惑行為を撮影した動画の投稿である。悪いマナーの人がネットにアップされていることがすでに社会的制裁なので、視聴者は(日頃から悪いマナーに悩まされている人は特に)その動画を見てちょっと胸のすく思いがする。

 ただ、その動画が撮影された背景がわからない場合、それが過剰な措置になっている可能性はある。ひょっとしたら日本のマナーを知らないゆえにマナー違反を犯していただけで、一言注意すれば改めてくれたかもしれない。

「現地のマナーを知らないことがすでに罪」という考え方もあるかもしれないが、ではその罪に対してネットを通して全世界にそれをさらすことが適切な措置なのかは疑問が残る。特に日本人は見ず知らずの他人に声をかけるのが苦手だから、「声掛けが苦手だから発見次第即撮影→晒し」となれば途端に陰湿さが多分に含まれた行為っぽくなる。

 とはいえ、見ず知らずの人に注意するのは本当に大変である。筆者も昔はよくやっていたが最近はとんとやらなくなった。知らない人に話しかける勇気に加え、「ケンカになるのでは」「拒絶されたらムカつくかも」といった心配があり、わざわざ自分がそのリスクを買って出ることはしなくていいんじゃないかと思える。

 さらに迷惑行為を行っているのが外国人なら異言語間のコミュニケーションが不安でしかなく、もう我関せずで迷惑行為を看過する胸のもやもやにだけ耐えながら、なんとかその場が過ぎるのを待った方が平穏である。

 それでももし注意をするなら、「理解してもらえないかも」というダメ元で、優しく簡単にするのがよろしかろう。これくらいのテンションの方が受けいられなかった時のダメージが少ない。「注意してやった感」や「相手を負かしてやった感」はただの自己満足やパフォーマンスにつながるので必要はない。

 まさにその場にいると憤りも覚えるだろうからその勢いでワッといきたくなるだろうが、純粋に相手に理解を求めるだけの方が平和的だし、トゲがないので理解してもらえる可能性も高まる。