残る1~3街区が開業する
グランドオープンは2026年春

 半年後に商業施設がオープンすると、さらに半年後の2026年春には残る1~3街区が開業し、グランドオープンを迎える。建設中に出土した「高輪築堤」は2027年度の公開を予定しており、長期的には品川駅寄りの5街区・6街区の開発構想も存在する。今回のまちびらきはゴールではなく、「100年先」を見据えた高輪ゲートウェイシティのスタートだ。

 現時点では駅前に、誰でも自由に利用できる「自動走行モビリティ」が走っている以外に、分かりやすい「先進性」は見あたらないが、消毒剤を霧状に噴霧しながら自律移動する「消毒作業ロボット」や、利用者の手荷物を非接触で運ぶ「手荷物搬送ロボット」、軽食や飲料をオフィスやオープンスペースに運ぶ「軽食・飲料搬送ロボット」などが縦横無尽に走るようになれば印象は変わるかもしれない。

歩行速度程度で決まったルートを巡回している「自動走行モビリティ」歩行速度程度で決まったルートを巡回している「自動走行モビリティ」(筆者撮影)
内部に食事を搭載して表情豊かに走行する「軽食・飲料搬送ロボット」内部に食事を搭載して表情豊かに走行する「軽食・飲料搬送ロボット」(筆者撮影)

 駅前広場や駅改札前では、飲食や物販の店舗が並ぶ「Gateway Park Market」などのまちびらきイベントを開催中だ。しばらくはオフィスだけの味気ない街に人々が集うのなら、高輪ゲートウェイシティの船出は順調といえるだろう。当面は各種イベントを楽しみながら、建物を眺めるくらいしか見どころはなさそうだが、長い目で街の変化を楽しむくらいがちょうどいいのかもしれない。

 冒頭に記した「まちの成り立ち」に興味があれば、明治以降の品川・高輪エリアの成り立ち、鉄道や人々のくらしの変遷を紹介する「未来へつながる 鉄道とまちづくり展」も楽しいだろう。週末には鉄道模型の運転体験やクイズ大会など子ども向けイベントも行われるそうだ。

プロジェクションマッピング「未来へつながる 鉄度とまちづくり展」ではパネル展示の他、プロジェクションマッピングも活用する(筆者撮影)
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 会期は6月28日まで。会場はTHE LINKPILLAR 1 SOUTHの6階「Conference Hall B」だが、これが分かりにくいことこの上ない。

 THE LINKPILLAR 1 SOUTHの1階入って右手側、ニュウマン高輪につながるエスカレーターは閉鎖中で、照明も落とされているので左手側のエレベーターに目が行くが、これはオフィス用。正解は右手側、閉鎖中のエスカレーターの奥にあるエレベーターである。

 また6階についた後もフロアをぐるりと回らなければ到達できず、案内が不足しているという印象を受けた。JR東日本と高輪ゲートウェイの核心にある、鉄道とまちづくりを取り上げたコンテンツが、端の方に追いやられているように見えたのは残念だった。