
アウトランダーPHEVは静かで力強く、快適
どこまでも走って行きたくなる電動SUVの代表【試乗記】
新型アウトランダーPHEVはひと目でそれとわかるスタイリングをしている。完成度の高いインパクト大なデザインはほぼそのまま継承。実は細かなリファインを受けているのだが、「威風堂々」のコンセプトどおり、迫力あるマスクは健在である。
実際に走らせるとその違いは思いのほか大きく、わかりやすい。マーケットニーズに合うよう上手い具合に進化させている。
個人的に従来車との違いを感じ取れるのは、2021年にリリースされたアウトランダーPHEVを1年間テストドライブしていたからだと思う。当時試乗会で高い仕上がりに感動し、ロングタームテストが実現した。スタイリングも乗り心地もプラグインハイブリッドシステムの出来栄えも素晴らしいと思えたのだ。とくに乗り心地には驚いた。国産車にはない輸入車のような懐の深い味わいを感じたからだ。
従来モデルを愛用した立場で分析すると、新型は乗り心地がマイルドになり、高級感が増した。ダンパーの減衰圧とバネレートを見直した成果だと思う。路面からの入力を縮み側で吸収し、長いストロークでキャビンをフラットに保つような感覚だ。思い返すと、従来型は20インチだと路面状況によっては少し硬すぎるシーンがあった。それが気になり、試乗車を預かる際は18インチのオプションホイールに履き替えてもらった。そのほうが乗り心地が柔らかくなるからだ。

ところが、新型は20インチでも適度な柔らかさがあり、さらに快適になっている。聞くところによると、これには従来型に対するオーストラリアからのフィードバックが関係するらしい。路面状況のよくないエリアでは、従来型の足だと少々硬すぎたようだ。そこで、開発陣はテストを重ねこのしなやかな足を生んだ。
誤解してほしくないのは、単にソフトにしたのではないということ。そのベクトルに進みながら同時にしっかり感も強まっている。コーナリングもそうだし、速度が上がった際の安定感もレベルアップした。この辺はドイツのアウトバーンでの使われ方を意識していると思われる。新型は従来売られていなかったヨーロッパでの販売をスタートさせたからだ。彼の地では、時速200km/hに近い領域でどれだけしっかりした足を作り、クルマを安定させるかが勝負となる。
というのが新型アウトランダーPHEVの乗り味だ。上質で高級感のあるセッティングがクルマをさらに格上げしたと自信を持っていえる。