テスラの株価が急落
世の中はマークの母親と似たとらえ方をしているらしい。
その証拠に、買収提案が発表された翌日、ツイッターの株価が28%も上昇。
でも、それから数週間がすぎ、実家から2ブロックの教会でジーナと結婚の誓いを交わすころには(ジーナ側は親戚が山のように参列したが、マーク側の参列者は、母親と、小学校卒業以来会っていなかったいとこふたりだけだった)、世の中が思ったほどスムーズには話が進まないらしいことがわかってきた。
マスクの買収提案を受け入れるとツイッターが正式に発表してから1日で、テスラの株価が12%も下落した。わずかに1日で1000億ドル以上も時価総額が下がったのだ。
言い換えれば、マスクがツイッターの買収に払う金額の倍以上が失われたことになる。
ツイッターとテスラの株主は、ツイッター買収のとらえ方がまるで違うわけだ。
止まらない下降スパイラル
さらにその三日後、買収資金の足しにするためマスクが85億ドル相当のテスラ株式を売却したとのニュースが流れるとテスラ株価はさらに下がり、いつ果てるともしれない下降スパイラルに入った。
テスラの株価下落は市場全体が軟調であるのも原因だろうが、ツイッターを経営すれば、当然に、目配りしなければならないことが増えるし、おそらくは世間の注目も集めることになるというあたりを株主が心配しているのもまちがいない。
マスクは単なる登録ユーザーであった時代にさえ、おかしな投稿をして物議を醸しがちだったわけで、ツイッターCEOとして書いたらどうなるのかわかったものではない。
マスクにとっても予想外だった「世間の拒否反応」
テスラの関係でネガティブな反応が出たのは、マスクにとっても驚きだったようだ。
マスクのおかげでテスラはあわや大惨事という危機をいくつも乗り越えてきたことから、テスラのファンはマスクを救世主かなにかのようにあがめるのが当たり前だったからだ。
テスラ関係でマスクの名前が挙げられるときには、天才という言葉が一緒に出てくるのが常だと言えるほどなのだ。
「買収保留」。そして裏で進む攻防
2週間後の5月13日、ツイッターの買収は「保留」にすると突然に発表されたことを見ても、テスラの株価はたまたま下落したのではなく(その分、マスクの資産総額も減った)、買収提案に対する反応だったと考えていいだろう。
保留理由は、もちろん、テスラ株と関係がなく、スパムや偽のアカウントは全体の5%以下だとすることでツイッターは登録ユーザー数を過大評価してきたと判断したからだそうだ。
5月17日のツイートを見ると、5%以下などありえない、どころか20%でも見積もりが低すぎるかもしれないとマスクは考えているらしい。
表の応酬はマスク側もツイッター側も激化していたが、ツイッター社内では、マスクがなにをツイートしようが買収はなされるとの前提で準備が進められていた。
逆に、万が一「保留」が退却につながった場合に備え、法務チームが集められたとの情報も社内チャンネルには流れていた。
(本稿は『Breaking Twitter』から本文を一部抜粋、再編集したものです)