日本では令和のコメ騒動以来、農林水産省とJAによる旧来の政策が批判を浴びています。減反を推奨し、離農する農家が増えている現状は、このままでは日本の農業を衰退させると危惧されてきました。その長年動かなかった壁が、トランプの外圧で動き始める可能性が出てきました。

 アメリカ車については、テスラだけでなくグーグルのウェイモなど自動運転が政治的な争点になるでしょう。日本政府が徹底的に抵抗してきたライドシェアの壁が動き、日本全国でアメリカ製のロボタクシーが導入され始めるとしたらどうでしょう。タクシー業界には激震が走るでしょうけれども、地方都市では住民に新しい足が生まれて、地方経済はプラスに動く可能性が出てきます。

 結局のところ、日本経済に欠けているものはイノベーションです。そして日本経済が本質的に成長できないのは、補助金でイノベーション企業を後押ししながら、法制度でその足を一生懸命ひっぱっているからに他なりません。

 この構造が壊せるのは、残念ながら外圧だけ。それは世界中で同じです。そう考えるとトランプ関税は短期的には世界経済の足をひっぱることになるでしょうけれども、それが2年でついえるのではなく、12年の長きに亘って続いた方が、日本の若い世代にとってはよい未来だったと後から言える変化なのかもしれません。

※下記は「トランプ相互関税」の一覧(4月9日時点)