14歳クルド人少年の
暴走が招いた“異常な連鎖”
続いて、クルド人問題の特異性を印象づけたのが、少年による次のような事件だった。
トルコ国籍の男子中学生(14歳)は7月12日、川口市内の商業施設で、大音量で音楽を流し、タバコを吸うなどの迷惑行為を繰り返し、60歳代の男性警備員から出入り禁止を告げられた。
それに憤慨し「外国人を差別するのか」「爆破してやる」と警備員を脅迫し、いったん立ち去った後に戻ってきて、出入り口付近で火をつけた煙幕花火を投げつけて業務を妨害した(2023年8月3日付埼玉新聞電子版)。
埼玉県警川口署は、この少年を脅迫と威力業務妨害容疑で逮捕した。地元関係者によると、この少年はクルド人で、少年鑑別所に送られたが少年院送りは免れた。ただ保護観察はついている、という。真偽のほどは確認していないが、そういううわさが流れるほど、地元ではよく知られた存在なのである。
一連の事件をきっかけに、川口市役所にはクルド人を批判する電話が殺到した。9月29日、市役所を訪ね、この問題の矢面に立っている職員に話を聞くとこんな状況だった。
「職員3人で対応しているが、7月4日以降、抗議の電話はこれまで全部で300本くらい。今日もさっきまで電話を取っていた。1回でだいたい1時間以上、2時間半話したこともあった。
多くが県外の人で市民は2割弱。SNSの情報にあおられている。大阪のおっちゃんが『日本人が誰もいなくなるぞ、殺されるぞ』とか。またヤクザと思しき人から『殺しに行くから団体名教えろ、100人位相手にしてやる』という物騒な電話もあった」
クルド人支援から送還へ…
川口市長が示した“共生の限界”
川口市の奥ノ木信夫市長は、市内の外国人問題に関して、これまで2回、法相に事態の改善を求める要望書を手渡している。
1回目、2020年12月23日の上川陽子法相あて要望書は2項目からなり、市内に住む仮放免クルド人が就労を認められず困窮しているとして、就労を可能とする制度の創設と、健康保険などの行政サービスを仮放免者に提供することの可否について国の判断を求めた。