A380への再評価が進む理由として、まず、逼迫(ひっぱく)する空港の事情が挙げられる。例えば、ブリティッシュ・エアウェイズの拠点であるロンドン・ヒースロー空港は、3本目の滑走路建設がなかなか進まず、混雑が何十年も慢性化し解決が見られない。また、ルフトハンザ航空の一大拠点であるフランクフルト国際空港も、発着枠の関係で一部路線をミュンヘンに移すことを余儀なくされた。

 中東にも同様の事情があり、特にドバイ空港は市街地に近いため拡張が難しい。これらの事情から、一度に500人近く運べる超大型機のニーズが高くなっていると言えるだろう。

ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:エミレーツ航空
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:エミレーツ航空
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:エミレーツ航空
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:エミレーツ航空
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:エミレーツ航空

 次に、ボーイング社の相次ぐ不祥事で、新機材の導入が軒並み遅れていることも見逃せない。特にA380の置き換え機にもなるボーイング777-Xの開発が遅れに遅れており、当初は19年の予定だった初号機の引き渡しは26年に延期。多くの航空会社が、機材戦略の再考を余儀なくされているのだ。

 一方のエアバス側は、A380の再生産の可能性は低いとしながらも「完全に排除されているわけではない」と表明している。

 エミレーツがA380を導入したのは08年で、退役を進めたい意向があるものの、ひと回り小さいボーイング777では360席程度しかなく完全な置き換えが困難となっている。また、シャワールームなどの特徴的なサービスは広いスペースを持つ超大型機だからこそ。それもA380を維持する理由だ。

 今のところエミレーツ以外で公式に生産再開を望む声はないが、こうした事情や、近年の急激な航空市況の回復を踏まえると、他にも生産再開を望むエアラインが出てきてもおかしくない。

ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:シンガポール航空 A380R スイート(2席を利用した場合)
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:シンガポール航空 A380R ビジネスクラス(2席を利用した場合)
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情写真:シンガポール航空 A380R プレミアムエコノミークラス

 そうした中で見逃せないのが、中国で超大型機の生産計画が存在することだ。