中国で超大型機製造計画が進行中?
高い関税が不要、調達面で優位なチャンス
中国では、ボーイング747やA380に匹敵する超大型機の生産計画が進行しているもよう。上海で設立された民間航空機製造会社、中国商用飛機(COMAC)による「C939」計画である。
同社は78~90席程度のリージョナルジェット「C909」(エンブラエルE190に匹敵)や、156~174席程度の「C919」(ボーイング737やエアバスA320に匹敵)を生産している。これらは中国国内だけでなく、東南アジア諸国からも注目され、ベトナム最大手LCCのベトジェットでも導入されている。
そして目下、双通路で400席程度、航続距離1万2000kmでボーイングのベストセラー機787に匹敵する「C929」を開発している。加えて、超大型機C939の開発にも着手していることが報道されている。
特にC939の詳細はまだ明らかになっていないが、安全性が十分確保された航空機であれば、欧米から高い関税が掛かった航空機を輸入するよりも、中国内で調達できるため、日本や韓国などアジアの空のライバルよりも機材更新で優位に立つ大チャンスである。
中国は軍が利用する空域が多く、民間航空に対する制約が大きい。大手航空会社の拠点空港は北京や上海、広州といった沿岸部の大都市に集中し、米国のように国土の各地にあるわけではない。しかも北京や上海の空港は航空自由化の対象から外されることも多い。そうなると欧米や中東の事情と同様、たくさんの乗客を一度に運べる超大型機のニーズは高いと言えるだろう。
一方で、不透明な点もある。中国の航空会社が超大型機を大量購入して運営した実績はまだない。また、中国は高速鉄道が発達しており、空港が市街地から遠いこともあって、航空旅客数は鉄道利用者数に大差を付けられている。
中国の航空会社にそれほど期待できないなら、超大型機を大量購入する可能性がある中国外のエアラインを見極めることになる。この点がCOMACによる中国版超大型機の今後を占うだろう。