羽田の乗り入れが認められれば
JAL・ANAも超大型機を見直す?

 では日本勢はどうだろうか。成田・羽田の拡張が進まず、航空需要が逼迫していた2000年代までは、JAL・ANAとも国際・国内線の多くで大型機・超大型機が必要だった。実際、JALはボーイング747シリーズを大量導入し、通称「ジャンボジェット」として一般的な認知度も高かった。

 A380については、JALは経営破綻もあったので購入せず、ANAはスカイマーク買収に伴って3機を購入したに過ぎない状況だ。同機は、羽田では後方乱気流や沖合滑走路の総重量規制などの影響で、昼間の乗り入れが禁止されている。

 成田・羽田の拡張が進んだ現在、中小型機を高頻度で運用する方が経済的であり、両社ともそうした運航体制へシフトしてきた。

 それでも、羽田の需要は国際線を中心に依然として大きい。しかも羽田の発着枠は柔軟に運用する仕組みがなく、増便や新規就航のハードルが非常に高い。となると少ない発着枠で多くの人数を運べる超大型機のニーズ自体は、あると言えるだろう。実際、19年6月にはカンタス航空が羽田~シドニー線でA380を運航したいと要望を出していた。

 また、日本国内においては、災害時における新幹線の代替交通手段としての役割も重要だ。一例として04年の新潟県中越地震では、上越新幹線が不通となった際に、JALのジャンボジェットが臨時便で大活躍した経緯がある。自然災害が頻発する日本において、大量輸送可能な航空機は意義のある存在だ。

 このような背景から、羽田における超大型機の運用制限については、早期の見直しと解決が求められる。もし昼間にA380の運航が可能となれば、羽田発ニューヨーク線やロサンゼルス線などで、改良型A380の再導入も現実味を帯びてくるだろう。

 ボーイング、エアバスとも生産が終了した超大型機。筆者自身は、ハブ空港が国内各地に分散している米国の航空会社以外は、購入する可能性はあると考えている。

 JAL・ANAも羽田空港の規制緩和次第では、主力の北米線などに導入する可能性もゼロではない。なにより、ANAのフライング・ホヌが羽田発着になれば、ハワイ路線の競争環境は様変わりするだろう。

 そして中国COMACの技術力がどれほど進歩するのか――今後も引き続き、航空業界の要注目トピックと言えるはずだ。

ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情Photo:AIRBUS
ファーストクラスにはシャワールームも!超大型機が「やっぱり良いかも…」と言われる空の最新事情Photo:ANA