積雪によるものだろうか、1階のスキーロッカー室の窓ガラスは割れてしまっており、風雨が吹き込む状態になっている。

訪れたのが夏だったため、生い茂った植物が割れた窓ガラスから入り込んでいた(22年月撮影)訪れたのが夏だったため、生い茂った植物が割れた窓ガラスから入り込んでいた(22年月撮影)

 かつては国内で最も人気が高かったスノーリゾートである苗場エリアの牽引役であった苗場プリンスホテルでさえ09年に通年営業を休止し(現在は再開)、その後22年にシンガポールの政府系投資ファンドに売却されるほど、苗場は往年の賑わいを失っている。

 早急に大規模修繕を行わなければホテルとしてはおろか、一般のマンションとしての再利用すら困難になりつつある苗場泉郷ホテルを、大金を投じて復活させようという企業は現れるだろうか。

 何せ周辺では、特に修繕せずともすぐにそのまま使用できるリゾートマンションの居室が今なお大量に市場に放出されているのだ(編集部注/苗場エリアの居室は数千戸におよび、圧倒的な供給過多。10万円でも買い手がつかない物件が多々ある)。苗場に地殻変動のようなよほどの変化でも起きない限りその資産価値の上昇は期待できないだろう。

苗場プリンスホテル周辺に集中するマンション群の多くは10万円以下で売りに出されている苗場プリンスホテル周辺に集中するマンション群の多くは10万円以下で売りに出されている 拡大画像表示

ホテルを運営していた会社は
いまではすっかり我関せず

 ちなみに会社更生法が適用されたセラヴィリゾート泉郷は、13年11月に更生手続きを完了させ、再び会員制リゾート事業を再開し現在に至っている。ところが苗場泉郷ホテルについてはその運営事業者として復帰するわけでもなく、事業再開に向けての援助を行うわけでもなく、今なおオーナーもろともその存在を無視している。

 手元に『もっと身近にリゾートをセラヴィリゾート泉郷の45年』(小西滋著・クロスメディア・マーケティング、16年刊)という、更生手続き完了後に同社の取締役が著した宣伝本があるが、会社が破綻に至るまでの経緯やその後の再生模様などがドラマチックに書かれている一方で、苗場泉郷コンドミニアムホテルの名前はどこにも出てこない。分譲が完了している以上、権利上は同社が入り込める余地は残されていないのだろう。