後続の戦車もそれを追うように、徐々に車線変更をしながら1列になって後に従った。そして戦車男が立ち尽くす道路中央のおなじみの場所で、戦車と戦車男が「鉢合わせする形」になった。

 つまり、戦車男が戦車の列の前に飛び出したのではなく、戦車のほうが妨害されるためにわざわざ戦車男のいる場所へと車線変更をしながら近づいていったことになる。この事実に気づいてから、直ちにそのほかの映像や画像を再確認したが、確かにいずれも戦車側が車線変更をした痕跡が記録されていた。

 もし戦車男が先に妨害したから戦車が車線変更を余儀なくされたということならば、戦車縦隊の列は右往左往、蛇行していても不思議ではない。だが先頭車両の後に続いて車線変更した車列の形は乱れずに一筋のカーブを描いていた。

 つまり戦車の縦隊はずっと同じ方向に舵を切り続けていたことになる。本来は当時配信されたスチールの俯瞰写真(写真3)を見て、もっと早くそれに気づくべきだった。だが残念ながら、事前の動きをすべて記録できた尺が長めの動画を目にするまで、筆者はその真相をつかむことができなかった。

 それはまさに「戦車男のほうが戦車の行く手を阻止した」という筆者の思い込みを打ち砕く衝撃的な新事実だった。