自然に中途覚醒したタイミングでついでにトイレに行くという順番なら心配はいりませんが、強い尿意で、眠いのに睡眠が中断されるのは、睡眠時無呼吸症候群の症状です。
睡眠時無呼吸症候群の場合、酸欠や尿意などのストレスによって睡眠は中断されやすくなりますが、どの程度のストレスで覚醒するかは個体差があります。睡眠から覚醒に移行する刺激の最小の強さを覚醒閾値といいます。
覚醒閾値が高くて、苦しくても目覚めないと、睡眠時無呼吸症候群の場合、酸素不足が進みます。覚醒閾値が高いため、完全に覚醒はしなくても、深いNREM睡眠が持続せず、浅いNREM睡眠になってしまうことも多いです。
NREM睡眠が浅くなると、深いNREM睡眠にしかできない生命活動が不足するため、自覚的な中途覚醒の回数は多くなくても、日中の眠気や高血圧など、睡眠不足の症状が出ます。
企業の異動や昇進が
睡眠に与える影響
反対に小さなストレスで目覚めてしまう覚醒閾値の低い方の場合は、中途覚醒が多いです。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の無呼吸低呼吸イベントの回数で診断されるため、睡眠が中断されてしまうと睡眠時無呼吸症候群なのに正常と誤診されることがあります。
酸素不足になる前に目を覚まして呼吸をするので、酸素飽和度は低下しないのですが、睡眠は何度も中断されているので、睡眠効率が下がり、臥床時間を確保しても、結果として睡眠不足の症状が出ます。この場合は、睡眠時無呼吸症候群の治療が有効です。
特に睡眠の前半に、不快な中途覚醒を経験する場合は、睡眠外来を受診してください。
実際に、軽症睡眠時無呼吸症候群により夜間のトイレが日常で、睡眠効率が75.5%しかなかった当院かかりつけ患者は、歯科で作製した治療用のマウスピースであるOA(Oral Appliance、口腔内装置)を装着して、現在は睡眠効率90%前後を維持し、夜間トイレに起きることもなくなりました。